知っていますか?PoEの脆弱性 : 若尾和正の「これで防げるLAN構築トラブル」 : ネットワーク構築エキスパートのための製品情報サイト【Cabling EX】

若尾和正の「これで防げるLAN構築トラブル」

第24回 知っていますか?PoEの脆弱性

ここにきてPoE(Power over Ethernet)の第二次ブームの様相を呈している。ここで、PoEを利用する上での注意点を挙げていこうと思う。

まず、PoEとはLANケーブル上で電力の伝送を行う方法で、終端機器の電源工事が不要な点を大きな特長とする。これは我が国のように電気工事に関する規制が厳しい国では大きなメリットである。

例えば、屋外にネットワークカメラを設置する場合、距離にもよるが、カメラ本体よりも電気工事料金の方が高額となるケースが多い。PoEに対応していれば、給電可能な装置さえあれば電気工事料金は不要となる。

加えて、PSE 認証の問題も無視できない。商用電源(100V)を使用する機器はすべて、円形またはひし形のPSEマークがないと販売できない。通販などで無認証の機器を見かけるが、こうした機器の使用が元で事故に至った場合、知らないでは済まされない。個人的な利用ならともかく、施工者はその機器を販売していなくても、設置した責任は免れないだろう。

PoE が優れているのは、接続された機器がPoE 対応か非対応かを判断してから送電を開始する点にもある。特殊なチップでその判定を行うのだが、その作動原理を理解しておかないとトラブル時の対応ができなくなってしまう。

PoEに限ったことではないが、昨今のアプリケーションは自動化が非常に進んでおり、ユーザーにとってはなかなか理解しがたい構造になっているため、肝心の論理動作部分を置き去りにして利用しているユーザーが実に多い。個人使用ならともかく、事業所で使うのであれば、アプリケーションの動作論理は理解しておくべきことではないかと思う。

話を本題に戻す。PoEの脆弱性として挙げられるのは、LANケーブルがもともと通信専用であるということに起因している。元来、電力伝送には不向きな太さであり、構造なのである。この部分を理解せず、むやみに使用をすると厄介なトラブルを起こすことになる。

最近流行りのフラットケーブル、特に超薄型のケーブルを使用した場合、電圧降下で動作不安定となる。電力は電流と電圧の積となる。電力を一定とするなら、電圧が低ければ電流量が増大する。オームの法則が、電流は電圧に比例し抵抗に反比例すると示す通り、細い電線は抵抗値が高い。これは導体の抵抗値は断面積に反比例するためで、通常のLANケーブルの規格24AWG(AWGはアメリカンワイヤーゲージの略。数値と導体の直径は反比例。24の場合、測定時の環境温度20℃で0.51mm)だが、フラットの場合は32AWG 以上、つまりもっと細い芯線の場合が多い。この手のケーブルは、驚くほどの数量が企業に行き渡っており、これらが動作不良や発煙などのトラブルを引き起こす可能性があることは軽視できないと思われる。

もう一つは、LANケーブルの劣化や、プラグ部分の接点不良でのトラブルであろう。通信はできても電力供給に問題が発生するケースで、今後この問題が一番顕在化すると予想される。LANケーブルはプラグ・ジャック部分も「点」接触で、電力供給には全く不向きな構造だ。加えてプラグ内の通信線と金属ピンの接合も単純なカシメとなっており、ラッピングのような堅牢さも電流容量もない。現段階での普及度はそれほどでもないが、今後スマホ対応等によるWi-Fiアクセスポイントの増加に伴って前述のトラブルが発生すると思われる。取り付け等には十二分の注意と機器に関する知識を持っていただきたいと切望する次第である。

※月刊テレコミュニケーション2014年2月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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