TSUTAYAは、今期第3四半期までの営業利益が前年同期比約3割増と、業績好調です。販売促進を支援する立場から、最近のエンタテインメントソフト市場をどうみていますか。
服部 映像分野が好調で、顕著な伸びをみせているのがDVDのレンタル市場です。一方、音楽は近年CD需要が若干落ち込んではいるものの、着うたに代表されるデジタル流通市場が拡大しています。多様化するニーズに合わせて、TSUTAYAもDVDソフトの品揃えを増やすなどの店舗改革を進めたことで、CD、ビデオ、DVDのレンタル・販売部門では国内市場の3割を確保し、トップシェアを獲得するに至りました。今年1月末時点で店舗数は約1150に上り、会員数は毎月10万弱の純増で約1830万人に達しています。
当社はインターネット向け総合エンタテインメント情報サイト「TSUTAYA online」の運営を通じて、TSUTAYA店舗に対する販促支援事業やネット通販、携帯電話向け有料サービス事業を行っています。登録会員も現在約450万人を獲得しました。Eメールマーケティングによる販促活動に注力するとともに、ネット事業のビジネス強化を通じて会員をさらに増強。これを一層の来店促進につなげるというように、「リアル」と「ネット」のシナジー効果を今まで以上に追及していきたいと考えています。
「クリック&モルタル」にいち早く着目し
離反兆候客の携帯電話にクーポン配信
御社は、来店促進策として国内でいち早くクリック&モルタル方式のビジネス手法を提案し、自ら実践してきたことで知られています。とくに携帯電話インターネットを活用した半額クーポンは有名ですが、その狙いはどこにあったのでしょうか。
服部 店頭在庫の回転率を上げ、収益を最大化することにほかなりません。レンタル事業は仕入れ原価が一定ですので、「半額クーポン」のような大胆な価格インセンティブを設定しても、在庫回転率を上げれば、その分がそのまま利益になりやすい。こうした特性に加え、携帯電話のメールはDMやチラシなどと比べてローコストでリーチが高いため、両者を組み合わせた販促効果は絶大です。さらに、半額クーポンは通常週末に映画2本にとどめていたレンタル本数を3本に増やすとか、帰り際に(併設された書店に寄って)新刊本を購入するといった具合に、貸し出し本数や販売金額の伸びにもつながります。こうした諸々の事情が、スピーディかつ低コストのインターネットの販促手法とうまくかみ合ったことが、最大の成功ポイントです。
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