メッセージ

ビジネスコミュニケーション東京2010 開催にあたっての提言

通信系ディーラーのビジネス課題を解く
ユーザー企業に喜ばれる“+IT”提案のヒント
小林佳和

「ビジネスコミュニケーション東京」は、中堅・中小企業の活性化に向けて、企業ネットワークシステム構築・保守を手掛ける通信系ディーラー/SIを中心に開催される、日本で唯一の通信ビジネス専門イベントです。
第5回を迎える今年のテーマは、「コミニケーション&コラボレーションで企業をもっと強くする」です。ユニファイドコミニケーション、NGN、モバイル、FMCなどに加えて、セキュリティ、運用管理、エコなどの最新トレンドが紹介される予定です。
これまで、通信ネットワークとくに電話、音声通信を主要対象としてきた通信系ディーラー/SIにも、いよいよIT系のスキルが求められる状況に至っています。
しかし、これは決して難しいことではなく、むしろ通信系ディーラー/SIの飛躍のチャンス、ビジネス拡大の機会であり、しかも身近なところからお客様が喜ぶ提案が可能なのです。
ビジネスコミュニケーション東京2010をステップに、一歩踏み出すことを提言します。

通信系ディーラーのビジネス拡大

通信系ディーラーは、これまで「変化をチャンスに変える」ことで成長を遂げてきました。1985年の「本機開放」、87年からの「新電電(NCC)」登場による電話回線競争、90年のISDNスタートとデジタル化などです。95年からはLAN工事ビジネスの始まり、2000年頃からは携帯電話、無線LANなどモバイルを商材に加えてきました。またほぼ同時期に、電話からIPへの転換が起き、VoIP、IP電話のビジネスが始まりました。これらの新領域開拓によって、通信系ディーラーのビジネスは大きく変化し、業容拡大、企業ユーザーへの提案領域拡大を実現してきました。
そして、現在、新たな波が襲っています。それが、ユニファイドコミニケーション(UC)に代表されるITと連携する分野への取り組みです。
IT系分野への苦手意識の前に、まずここで押さえておくべきは、かつてのLAN工事ビジネス開始の時、高度なSIを伴うところはIT系SIに、配線工事周りは通信系ディーラーにと切り分けて、いわば共存共栄を実現してきましたが、同じことが今回のITを取り込んだユニファイドコミニケーションでも言えるでしょう。「未経験イコール不可能」ということではなく、自分の強みを活かして、新たにIT分野に取り組めば商機はあるということです(図1)。

IT系のビジネスも難しくない

最近、企業ユーザーからは、通信と情報処理を分けることなくトータルに運用し業務効率化を進め、経費を浮かしたり利益を増やしたりできるシステム提案を求められることが多くなっています。たとえば、携帯電話を含めた内線電話システムとしてのFMC、さらにその携帯電話でデータを取り扱う業務処理を行うシステム、またどこでもオフィスを実現するWebコラボレーションシステムなどです(図2)。
一見すると、通信系ディーラーには手が出せないITシステムを想像するかもしれません。しかし、LANの配線工事を思い出してください。通信系ディーラーは、LAN上のサーバーや業務システムを主力ビジネスにしてきたでしょうか。LAN配線工事の基本となるRJ45の配線や光ファイバーの配線、ありふれたスイッチやHUB等を商材にし標準的な工事を大量にさばく仕事を主たるビジネス領域にしてきたのです。

確かにLANの登場期はクライアント・サーバーシステムに業務を乗せる個別SIを含む形式でしたが、LANが当たり前となる中で、サーバーとは独立して標準的なLAN工事部分がビジネスとして成り立つようになりました。パソコン同士をつないだり、プリンターと接続したり、インターネットと繋いだりという極めて身近なニーズが増えました。そこを主領域にしてきたのが通信系ディーラーです。
今回のユニファイドコミュニケーションに係わるビジネスも、基本となる定型領域が拡大してきています。それにより、通信系ディーラーのビジネスが確立できる可能性も高まっています(図3)。
中小企業にも事業継続性(BCP)、バンデミック対策、セキュリティ、運用管理、エコ、移動費削減などを実現するシステムの構築が当たり前になるなかで、個別SI領域から汎用的なシステムを使う領域へ拡大してきているのです。そこで、LAN工事と同じように、ビジネスチャンスが拡大しようとしていると見てよいのです。

身近なところから貢献する

どういう例があるでしょうか。今、コミュニケーション領域で、メールの重みが増えています。このメール1つからでも、業務革新提案が可能です(図4)。例えば、Outlook 2010ではメールのドラッグ&ドロップでスケジュールと連携させることが可能です。そのスケジュールをグループで運用できるようにするだけで、組織力は上がります。その設定は、基本的な領域に属しますが、一般ユーザーにはあまり経験がない領域です。
また、そのスケジュールをWeb経由で見たい、携帯電話から見たい、さらには会議開催10分前通知を携帯電話のIMを提供して送る、メーラーとPBXを連携させてメール情報からすぐ電話出来るようにするなど、様々な提案へ膨らませて行くことができます。
パソコンを購入するとOS添付のメーラーを使っていた人も多いと思います。例えば、WindowsXPやWIndowsVisataでは、Outlook Expressが添付されていました。しかし、Windows7からはOS添付のメーラーがパソコン本体にはインストールされていません。「えっ」と思われるお客様も出てくるでしょう。マイクロソフトオフィスを購入した方にはOutlookが使えるでしょうが、それ以外の人はどうしたらよいのでしょう。

実はかつてのOS添付のメーラー役はWindows Liveが担うようになっています(図5)。図の下にWindowsLive メールのダウンロード画面を示していますが、そこの左下にダウンロードボタンがあります。これを押すとインストールがスタートします。そのような基本的な所を説明するだけでも、お客様は喜ばれるでしょう。
次に、FMCの簡単な例を述べましょう。携帯電話メーカーの壁を越えてIMでの一斉連絡や共有情報の保存を連絡するシーンが簡単に作れます。それはWindows Liveでも可能です(図6)。図6の上段は、Windows Liveに携帯電話からアクセスしている例です。最近の携帯電話はフルブラウザの機能を持っています。それを使うと、パソコンで扱える画面が共有できます。ここでは、スケジューラーを共有するシーンです。iPhoneのようなモバイル端末も、意外に基本のコラボレーションに組み入れることができます。それで、実際の業務も効率化します。

企業のお客様のコミュニケーションコと情報処理にトータルで貢献して実利益につなげることが求められています。高度なSIからのアプローチももちろんありますが、ごく身近なところからの提案も可能です。
お客様に身近なメーラーや文書作成などのオフィスアプリケーションや携帯電話からなら効果を身近に実感して頂ける、というメリットがあります。そして、身近であるがゆえに、次はこうしたいとか、ああしたいとうニーズを引き出しビジネスにつながる傾向を持ちます。また、SaaSも身近になってきました。これも通信機ディーラーのチャンスです。コラボレーションを実現するための基本機能に、ファイル共有やスケジュール共有、伝言・掲示板共有などがあります。従来はそれらのサーバーを構築しクライアントの設定工事を行いましたが、SaaS型ではクライアントの設定だけで、サービスを企業ユーザーに提供できます。
つまり、サーバーの運用管理はSaaSベンダー側にまかせて、業務革新を提案することができるわけです。さらに複数のSaaSアプリを連携させた提案によりトータルに業務改善を実現することも可能です。
定型業務を複数組み合わせて使うビジネスシーンは、SaaSにより通信機ディーラーの守備範囲であるWebとメールといった定型アプリケーションの延長にあると考えてよいでしょう。
これらも、LAN工事と同じく、通信系ディーラーのビジネスを拡大するアイテムの1つになるでしょう。