第15回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス 講演抄録
SDN時代のデータセンターを支える 汎用チップベースの高速スイッチ
アリスタネットワークスジャパン 技術本部長 兵頭弘一氏

クラウド市場の拡大に伴い、データセンターのネットワークは大きな変化を迫られている。アリスタネットワークスは、汎用チップセットベースの100/50/25GEスイッチ、SDN時代の新たなネットワークアーキテクチャーの提供などを通じてこの変化への対応を支援していく。データセンター間接続など、汎用チップベースのスイッチの用途拡大にも力を入れる。

 私どもアリスタネットワークスは、イーサネットのスイッチングを手がけている会社で、本社をシリコンバレーに置いています。2004年の創業当初から、自社ではチップセットの開発は行わずに半導体ベンダーの汎用チップを活用してこれまでなかったような製品を開発し、データセンター(企業の社内設備を含む)のお客様にお届けしていく戦略をとってきました。08年の出荷開始以来、すでに約3000社のお客様に当社の製品をお使いいただいています。今日はSDN時代のデータセンターに求められるネットワークのデザイン・技術について話して参ります。

 クラウド市場の急拡大やビッグデータの活用ニーズの高まりなどにより、データセンターでは高パフォーマンスのネットワークを設備・運用コストを抑えて実現することが求められています。その有効な解決手段の1つがイーサネットの高速化です。

 データセンターでは40Gbpsイーサネット(以下40GEのように表記)と10GEが多用されていますが、これからは新たに登場した100GE、50GE、25GEが、それぞれスパインスイッチ、ストレージ接続、サーバー接続用として主に使われるようになるでしょう。100/50/25GEの導入により、レスポンスの向上、設備の高密度化(省スペース化)・省電力化が図れ、ビットレートあたりのコストも大幅に下げられるからです。

 当社が15年秋にリリースした汎用チップベースの100GEスイッチは、分岐ケーブルを用いて100GEポートを50GE×2、25GE×4として使うことができます。トランシーバーを取り替えれば40/10GEにも対応できるので100/50/25GEへの移行をスムーズに進めることができます。

 データセンターのネットワークデザインにも変化が生じています。

 仮想化の普及に伴いデータセンターでは、高いレスポンスを実現できるリーフ&スパイン型のネットワークをレイヤ2で構築するようになってきましたが、最近VXLANなどを活用してリーフスイッチをレイヤ3で使い拡張性を高めようという動きが出てきています。アリスタネットワークスではVMwareと協力して、こうした技術の実用化を先行的に進め、SDNに対応した新しいネットワーク仕様「ユニバーサル・クラウド・ネットワーク・アーキテクチャー」を開発しました。

 このアーキテクチャーでは繰り返し構成をとることで自動化を容易にしています。標準的なプロトコルを採用し、用いるSDNコントローラを選ばないなどオープン性の高さも大きな特徴です。要となるEOS(Extensible Operating System)というネットワークオペレーティングシステムは高い可用性・拡張性を備えており、様々なプログラミング用インターフェースを持つなど運用のしやすさも大きな特徴となっています。

 このアーキテクチャーを用いることでサーバー数、数万台規模の大規模データセンターの運用・拡張を効率的に行うことができますが、サーバー数、数十台規模程度のデータセンターで活用しても大きなメリットが得られます。

 もう1つ、注目すべき動きに汎用チップベースの高速スイッチの活用領域が広がってきたことが挙げられます。

 近年、ダークファイバーを活用してDWDMで複数のデータセンターを接続し一体運用するケースが増えていますが、これにはかなりコストがかかります。そこで当社ではイーサネットスイッチの100GEポートにDWDインターフェースを装着して、低コストで数100G、数Tbpsで相互接続ができるソリューションを開発しました。このソリューションではVXLANをデータセンター間接続に拡張しマルチテナントを安価に実現しています。

 高価なエッジルーターの代替としてコンテンツ事業者のインターネット接続に使われるケースもでてきました。汎用チップベースのスイッチング製品の活用領域は、今後さらに広がることになるでしょう。

(文責・編集部)

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