第16回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス 講演抄録
Cloud B2Bで広がるクラウド活用 SD-WANと閉域網の連携が鍵に
華為技術日本 ビジネス&ネットワークコンサルティング部 迫田 健氏

企業がクラウドを活用する上でのネックの1つに、アクセス回線の信頼性・快適性が必ずしも担保されていない点が挙げられる。ファーウェイではSD-WANを通信事業者の閉域網の足回りに使うCloud B2Bサービスにより、この課題を解消することができ、クラウド利用の裾野が大きく広がると見る。日本や欧州ではこの種のサービスの展開が始まっているという。

 このセッションでは、ファーウェイが今力を入れている分野の1つ「Cloud B2Bサービス」とその実現技術であるSD-WANを軸に、5G時代に向けたネットワーク変革への当社の取り組みを紹介していきます。

 音声通信やSNSなどの既存の通信サービスの利益が減少する中、通信事業者はIoTやビデオなどの新たなサービスに力を入れるようになっています。特に、クラウド関連サービスは大きく伸びていて、事業者によっては売上の10%程を占めるまでになっています。

 とはいえ、企業のクラウド関連の支出のICT全体に占める比率はまだ15〜20%程度で、普及が進んでいるとは言えません。我々は、アクセスに使われるネットワークの信頼性・快適性が企業がクラウドを導入する上でのネックになっていると見ており、これを解消すれば、B2B、さらにはB2B2X、B2G(行政向け)分野にもビジネスの領域を広げることができると考えています。

 そこで、ファーウェイではまず、オフィスはもとより、自宅や専用線で社内ネットに接続されていない小規模拠点、さらには社内ネットワークがまだ整備されていない中小企業などでも、快適・安全にクラウドを利用できる環境を提供していくことが重要だと考え、Cloud B2Bサービスのコンセプトを打ち出しました。

 Cloud B2Bサービスで重要なファクターとなるのがコネクティビティ──クラウドに速く、安全に接続でき、障害が発生しても回避策がとられる。こうした安定した環境が、自宅でも利用できるようにするということです。

 こうした環境を実現する手段として期待されているのがSDN/NFVですが、これらは広域網ですぐに使える状況にはありません。そこで、我々はすでに幾つかのベンダーによって実用化されている「SD-WAN」をうまく使ってこうした世界を実現することを提案しています。

 SD-WANという言葉には明確な定義はありませんが、固定ブロードバンド回線やLTE回線にオーバレイする形でWANサービスを実現、IP-VPNやポリシー管理などの機能をセンター側で提供することで、ユーザーがセキュアなネットワークを簡便に構築できるサービスというような意味で使われることが多いようです。海外ではSD-WANを活用して、グローバルネットワークを構築した企業の事例などが注目されていますが、こうした展開は技術的にかなり高度なものになります。

 そこでファーウェイではSD-WANを通信事業者の閉域網と組み合わせてCloud B2Bサービスとして提供することを提案しています。閉域網の入り口にSD-WANを用いることで、中小企業が安心してクラウドを利用できるサービスを実現できる可能性があると見ているのです。SD-WANで入り口を分けてやることで、ネットワークのリソースをユーザー毎に切り分けて提供するスライシングのような機能を擬似的に実現できる可能性も出てきます。

 ファーウェイでは、SD-WANをキャリアのネットワークのどこに、どうつなぎ込むかなどにはONUG(Open Networking User Group)/ONOS (ONOperating System) の技術仕様が使えると見ています。

 すでにNTTコミュニケーションズやドイツテレコムなどでは、SD-WANを閉域網の足回りに使うサービスに取り組まれており、この動きは今後大きなトレンドになっていくと考えられます。その際、恐らくSD-WANとキャリアの設備をトータルで管理できるオーケストレーションの技術が重要になるでしょう。ファーウェイでは現在、SDN、NFVと既存のネットワークを統合的に管理できるオーケストレーターの開発に力を入れており、今後こうした分野でも貢献ができるのと考えています。

 ファーウェイでは、無線だけでなくトータルのソリューションの提供を通じて5G時代の通信事業者のビジネスに貢献していきます。

(文責・編集部)

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