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 2006年3月号

現行のCS調査には落とし穴がある!
『不満足度』視点でないと解決策は見えない

武田マネジメントシステムス 代表取締役
武田 哲男氏


顧客の企業に対する見方や購買動向を測る目安として頻繁に用いられるCS(顧客満足度)調査。
しかし、長年CS研究に取り組み、顧客・サービスのコンサルティングを行う武田マネジメントシステムスの武田哲男代表は、「現行のCS調査には大きな落とし穴がある。現状や実態把握には役立っても、次の一手はまったく見えてこない」と手厳しい。問題把握から解決フェーズに突き進むために、武田代表は『不満足度』の視点から顧客の真意を引き出し、具体的な解決策を見出す調査手法を確立。同手法を導入して成果を上げている企業も増えているという。
武田代表に現行のCS調査の問題点や「不満足度調査」の意義、実践プロセスと活用法などを聞いた。

Profile
武田 哲男(たけだ てつお)
武田マネジメントシステムス 代表取締役

1962年、服部時計店(現セイコー)入社。同社の販売部門を担う和光に勤務し、在社中から「高質サービス」に関する研究を開始

 71年、同社退社後、中小企業の役員を経て、サービスマネジメント・サービスマーケティング・CS(顧客満足)研究に取り組み、顧客・サービス研究のコンサルティングをスタート

 76年、武田マネジメントシステムスに社名変更。引き続き顧客・サービス研究に取り組み現在に至る。併せて、顧客データ活用に力を注ぎ、新製品・新サービス開発、企業のシステム・意識革新などに取り組み、「実績=顧客の支持率」を達成し実績を上げている。「完全版・顧客不満足度のつかみ方」(PHP研究所)ほか著書多数

――CS(顧客満足度)調査が普及し、「非常に満足」と「満足」のトップ・ツー・ボックス値を指標としている企業が増えています。

武田 たしかに、トップ・ツー・ボックス値の推移を自社のCS度合いの目安にすること自体は良いことです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。実は、非常に満足の回答層のなかにも不満が内包されているケースが多々あり、これを見落とすと、「トップ・ツー・ボックス値は年々上がっているのに、業績は下がる一方」とか「リピーターが一向に増えない」ということになります。現行のCS調査では、現状や実態把握には有効ですが、「ではどうするか」という次の一手がまったく見えてきません。問題把握型ではなく問題解決型のCSマネジメントを志向した時、現行のCS調査では限界があります。

CS数値だけでは本質を見失う
真意を掴むには180度の手法転換を

――現状把握であっても、数値が上がることには意味があるのではないですか。

武田 社外や部門外へのアピールと社員のモチベーションアップには有効です。しかし、数値だけを追い求めていくと、やがて点数の競い合いに終始し、本質を見失う恐れがあります。つまり、意識的あるいは無意識のうちにCSポイントが上がるような設問やフレーム設計にどうしても陥りがちになってしまうからです。これでは、顧客満足どころか自己満足になってしまいます。また、CSランキングNo.1の企業はまだしも、2位以下のところはデータにあまり意味がなくなってしまいます。しかも、たとえ1位であっても問題を数多く内包しているわけです。そこで、顧客に本当の意味で満足してもらうためには、調査手法を180度転換し、最初から「不満足度」を引き出し、要素分析と追跡調査を行い、ここから解決策を見出していくことが必要です。

――では、不満足度調査の手法とは。

武田 まず前提として、この調査が一番向かないのは、組織がタテ型でお役所的というか社員が常にトップや上司の顔色を見ながら仕事をしているような企業。権威主義、減点主義で、悪いデータが出ると当事者が責任を問われるようなところは、実施しても無駄です。また、不満足度調査の場合、顧客離反や失注(注文を失うこと)、敗戦(ライバルとの競争に負けてしまったケース)の原因究明のための追跡調査にも力点を置くことから、パーミッションの取れた顧客リストが揃っている、あるいは揃える必要があります。さて具体的な実践ですが、通常、12ページ平均のアンケート用紙(A4サイズ)を定期的に郵送して調査します。回収率は30〜35%で、しかもフリーアンサーの記入率は有効回答の40%以上です。なぜこのように確度の高い調査ができるかと言えば、顧客から不満の要素を引き出すノウハウを設問や調査フレームの随所に盛り込んでいるからです。定量調査は5段階ないし7段階で行いますが、「非常に不満」「不満」を設問の左側または上方に置き、CS調査の記入とは逆になります。また、定性調査用の設問にしても、まずマイナス要素から入るようなフォーマットにしてあるなど、不満足項目を先にすることで、顧客の真意を引き出すようにしています。と言っても、不満足度調査と銘打って実施するわけではなく、顧客に対してはあくまでサービス向上のため率直な意見を伺うというスタンスなのですが、重要なのは、企業として不満足にフォーカスするのか、それともあくまでCSポイントを求めるのかという違いです。不満足に焦点を当てれば、自ずと設問や調査フレーム自体が従来型のCS調査とは異なったものになってくるわけです。さらに、不満足度調査の基本は同じですが、業種・業態や1社ごとに問題点が異なるだけに、私どもではご依頼いただいた企業の状況や顧客分析を行い、1社ごとにフレーム設計しています。

――不満足度指数が出てくるのですか。

武田 数値としてはっきり出ます。この推移を見ることは社内・組織にとって非常に重要です。例えば、100人の顧客のうち80人が非常に不満としていた項目が、次回の調査で30人に減っていたとすれば、成果がおおいに上がったことになります。しかしながら、不満足度指数は外部に公表するような数値ではありませんから、目標とするところはあくまで顧客満足度を引き上げていくことになります。その意味では現行のCS調査と変わらないわけですが、根本的に異なるのは、目的とそのための手法です。不満足度調査から企業を本質的に変えていこうとする取り組みと、いわば“為にする”CS調査とでは数値の重みが違います。

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