本日は、スマートフォンの急増に伴って生じている課題とその解決策について、話をして参りたいと思います。
2007年頃に登場したスマートフォンはここ数年で急速に普及、日本では携帯電話の3〜4割を占めるまでになっています。2017年には6割程になるでしょう。普及の大きな要因としては、これまでPC上でしかできなかった、ゲームや動画の視聴がスマートフォンでできるようになったことが挙げられます。
さらに従来の3Gに比べ通信速度が向上、応答時間も短縮されたLTEの登場が、普及ペースを加速させています。
他方、スマートフォンは従来の携帯電話に比べ桁違いに多くのトラフィックを発生させるため、ネットワークの強化が大きな課題になってきています。
日本の1ユーザーあたりの平均トラフィックは月0.8GB程度になっており、これが年間約120%のペースで伸びています。NSNでは2020年に1ユーザーあたりのトラフィックが1日1GB程度になると予測していますが、日本では2017年頃にこうした状況になる可能性があります。これにいかに対応するかが通信キャリア、そして我々ベンダーの喫緊の課題です。
その有力な解決手段として世界の通信事業者が導入を進めているのが、3G(HSPA)の2〜3倍の周波数利用効率を持つLTEです。利用者はすでに約5000万に達しています。
さらにスマートフォンでは、バックグラウンドで常に通信を継続するタイプのアプリケーションの登場もあり、ネットワークに急に大きな負荷をかけるなど、時間、場所、使い方によって予測しがたいトラフィックの変動が生じる特性があります。ネットワークもこれに対応しなければなりません。
またトラフィックの劇的な増大で、ピーク時に合わせて設備を設ける従来のネットワーク整備手法にはムダが大きくなってきています。1ユーザーあたり1GB/日のトラフィックに対応するには、設備を有効活用できる新たな手法が必要になります。
NSNは世界120カ国、450の事業者に携帯電話のネットワーク機器を提供していますが、うち71がLTEであり、39の事業者ですでに商用サービスが始まっています。世界のLTE加入者の45%が弊社のネットワークを使っているのです。
多くの事業者に採用頂いている理由には、弊社の無線ネットワークが大きな接続負荷に対応でき、非常に高い信頼性を実現していることに加え、先進的な技術を活用して事業者のニーズに対応している点にあると考えています。
今NSNが力を入れているのが、先ほどの予測できない需要に対応できる柔軟なネットワークの実現です。これを可能にするのが、Liquid Net――トラフィックの変動に水のように対応するネットワークで、ユーザーの使用感の向上やネットワークの利用効率の改善、引いては通信事業者の収益向上にも寄与します。
Liquid Netは、無線アクセスのLiquid Radio、コアネットワークのLiquid Core、伝送系のLiquid Transportの3つからなっています。例えばLiquid Radioは、(1)ベースバンドモジュールを集約し、必要なところに必要なだけ割り当てるベースバンドプーリング、(2)必要な部分にビームを向けてトラフィックを処理するアダプティブアンテナ、(3)マクロセルとフェムトセルを組み合わせるヘテロジニアスネットワークに、自動でネットワークを調整するSON(Self Organizing Network)の機能を持たせたものなどで、これを実現しています。
またNSNでは、欧州とアメリカに各2カ所、そして韓国に機種やOS毎に異なるスマホ/タブレットの動態を検証するスマートラボを設け、事業へのコンサルティングなどに活かしています。
弊社は今後も次世代規格LTE-Advancedなどの新技術を活かして通信事業者のビジネスの成功に寄与して参ります。
(文責・編集部)