ネットワーク機能を仮想化し大幅なコスト削減やサービス提供期間の短縮を実現するNFV/SDNに、通信事業者の熱い視線が注がれている。これらの商用ネットワークへの導入には、仮想化技術だけでなく自動化、管理・監視技術が重要な役割を担う。HPは、これらを含む広範なソリューションの提供を通じ通信事業者のNFV/SDNへの移行を支援していく。
私からはHPのグローバルでのNFV/SDNへの取り組みについて報告させて頂きます。
HPはサーバーやITソリューションだけでなく、通信事業者向けのソフト開発やBSS/OSSなどの分野にも強みを持っており、欧州を中心とする多くの通信事業者のネットワークの再構築のお手伝いもいたしております。ここにきてNFV/SDNが注目されるようになったことで、仮想化で多くの経験を持つHPにこの分野でのお話をいただく機会も増えています。
私どもがNFV/SDN分野の取り組みを強める契機となったのが、今年2月にバルセロナで開かれたMobile World Congress 2013(MWC2013)でした。多くのベンダーがNFV/SDN関連の出展を行い、さらに基調講演でのドイツテレコムのCTOによる「収入が限られる中で現状の複雑な専用製品でネットワークを構築し続けるのには限界がある。SDNやNFVを使ってネットワークを変えていかないと我々のビジネスに将来はない」という発言が注目を集めました。通信事業者が現状のネットワークのままでサービス品質やオペレーションを維持していけるか危惧していることが明確に示されたわけです。
HPも以前からこの分野に注目しておりましたが、通信事業者の関心の高まりとともに、今年に入って取り組みを大幅に強化いたしました。専用製品の機能を汎用サーバに載せ替えるといったインフラの部分を始め、自社製品も含めネットワーク構成要素の仮想化、そして運用管理に至る広範なソリューションを積極的に提供していきます。
通信事業者も、NFV/SDNを活用してネットワークコスト削減や運用の効率化を実現したいと考えているのですが、現状はまだどのようにしたらこれらをネットワークやサービスに最適化できるか検証されている段階です。今すぐ大規模ネットワークをSDNに入れ替えてしまおうという事業者は、現状ではありません。
HPでは、NFV/SDN分野での製品開発や標準化活動への貢献などに取り組むとともに、欧州を中心にいくつかの通信事業者のPoC(実証実験)にも協力させていただいております。この中から導入に向けての課題、そして具体的な成果も見えてきました。
例えば、SDNの導入により、現在は数週間が必要なネットワーク構成の変更が数時間で可能になるといわれますが、これを実現するには装置の仮想化だけでなく、ネットワーク管理の効率化や自動化(オーケストレーション)が重要となります。 ネットワークの制御・監視を仮想環境でもスムーズに行える仕組みも必要です。
お客様が今一番苦労されているのが、まさにこの点なのです。
他方、PoCではユーザーの宅内機器、例えばファイヤーウォールやルーティング装置などの機能をSDNでセンター側に移し、大幅なコスト削減、サービス性の向上を実現されているケースもでてきていて、すでに商用ネットワークへの導入も始まっています。
多くの事業者が、コスト削減だけでなく既存の機器のサポート終了(EOSL)対策としてもSDNの導入を考えています。まずDR(予備)サイトやエッジから導入しようとする動きもでてきました。
今年に入ってコアネットワークの機能を仮想化するNFVの検証も開始していますが、この分野でもオーケストレーションが導入の鍵を握ることになります。
HPでは、これらの課題の解決策の1つとして、既存の大規模ネットワークから段階を踏んでオーケストレーションを実現できる「NFV Director」の提供をすでに開始しています。
私どもは仮想化から、管理・監視、さらにはサーバーに至る幅広いソリューションの提供を通じ、お客様のNFV/SDNへの円滑な移行を支援して参ります。
(文責・編集部)