――移動体通信市場の現況からお聞かせください。
高橋 ひとことで言えば、乱売合戦というかまさに激戦です。当社が先駆けた料金定額制にしても携帯電話各社が同様なプランを打ち出してきており、価格やサービスメニューで各社が特徴を出しにくい状況になっています。
――スピード(データ通信速度)もむしろ携帯電話の方が速くなってきました。
高橋 トップスピードで言うと現状ではそうですが、実効スピードとなるとPHSのネットワークは“厚み”があり、お客様(ユーザー)が大幅に増えるようなエリアや利用環境下でもスピードの落ち方が少なくて済むことから優位性が発揮できます。そもそも、PHSはコードレス電話を発展させたシステム、携帯電話は自動車電話を発展させたシステムであり、ネットワークのつくり方もPHSがマイクロセル(カバーエリアが比較的小さい基地局を多数設置してエリアを構築)、携帯電話はマクロセル(カバーエリアが大きい少数の基地局を設置してエリアを構築)で、方式が異なります。このため、PHSのネットワークでは多数の基地局でトラフィックを分散させることができ、1ユーザー当たりの通信速度と音声品質を最大化できることが大きな特徴なのですが、お客様から見ると、こうした方式の違いをまったく意識せずに利用されているというのが現状でしょう。
――加入者数の推移は。
高橋 音声定額制で伸びて以降、ここ半年ほど460万加入で横ばいです。内訳は法人46%、個人54%の比率(2008年3月末時点)ですが、当社はカード端末やデータ通信分野で先鞭を付けた経緯から、携帯電話各社に比べ法人比率が高くなっています。ただ、数年前から個人情報管理の問題でパソコンの外部持ち出しを規制する企業ユーザーが増えたり、また、当社のみだった音声定額制を携帯電話各社も法人に対して開始したことで、市場は乱戦気味ではありますが依然として法人へのアドバンテージはあると思います。
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