販売は代理店、サポートはセンター
“専業化”で業務プロセスを省力化
――コンタクトセンターの位置付けとしては、あくまでも事故受付をはじめとした既存顧客のサポートと考えていいのでしょうか?外資系各社のように、販売チャネルとして活かす予定はないのですか。
栗沢 確かに、コンタクトセンターやWebをインタフェースとしたダイレクト販売は我が国でも一定のマーケットを確保しつつあります。それだけに、当社としては地域に根ざした直接的な窓口を展開している強味をこれまで以上に活かさなければ、厳しい競争を勝ち抜くことはできないと考えています。営業店や代理店、あるいは損害サービスセンターにはそれぞれの業務に特化した仕事に専念してもらうためにも、煩雑な問い合わせ対応や事故受付などはコンタクトセンターにナビゲーションするような展開を進めたいと考えています。
さらに、先ほども申し上げたように、商品体系が複雑化しているうえに、規制緩和によって販売チャネルも多様化しています。従って、コンタクトセンターの販売チャネルに対するバックアップ機能という役割も一層拡大していくものと考えています。
ちなみに、当社は昨年7月に買収した保険会社「安田ライフダイレクト損保」(現「そんぽ24」)で一部通販を行っていますが、当社自体はあくまでも代理店販売を主体としていく方針に変更はありません。
――銀行をはじめとした金融業のコンタクトセンター構築・強化の背景には、既存チャネルの統廃合を見据えていることが多いのですが、御社はそれには当たらないということですか。
栗沢 例えば、現段階では代理店に負うことが大きい住所変更などの契約の変更受付がセンター業務として集約化されれば、大幅な省力化につながると見ています。つまり、コンタクトセンターをバックボーンとした代理店業務の効率化が狙いのひとつとしてある以上、将来的には営業店を含めた既存チャネルの統合や再編成は当然考えていかなくてはなりません。そういった意味では、コンタクトセンターは既存の販売チャネルと並んで“重要な経営基盤のひとつ”と位置付けられるといえます。
「安さ」だけが差別化ではない
バックオフィス処理まで含めた業務改善
――冒頭で、「1件当たりの保険料収入が下落している」という話がありましたが、サービス強化とともに価格競争力の強化は避けられないテーマと見られています。
栗沢 競争力を強めるには、“安さ”だけを訴求していては自ずと限界があります。それ以上に、“スピード”が重要となります。損保業界の顧客対応は、24時間365日対応がデファクトとなっていますが、これまでのように代理店のみに頼っていては、それも実現が難しい。しかし、コンタクトセンターを最大の顧客対応拠点とすることで、常に迅速で高い水準の対応が可能となるはずです。私どもが、あえて新センターの名称に“ファクトリー”と冠したのは、「理想とする顧客とのコミュニケーション」を実現するための「創造拠点」にしたいとの思いからにほかなりません。
顧客サポート拠点は集約化しつつ、顧客対応のプロセスは分業することで常に各分野のスペシャリストが対応する――このように、必ずしも価格競争だけに訴えるのではなく、サービス品質を追求することでお客様の要望を満たすことを目指していきたいと考えています。
(聞き手・矢島 竜児)
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