――カットオーバーは2006年春という計画のようですが、そこに至るまでのプロセスはどのようなものなのですか。
栗沢 現在は、首都圏に3カ所の拠点を設け、一般的な問い合わせや契約の変更の受け付けはカスタマーセンターが、事故受付は子会社である「ホットライン24」が担当しています。2004年春までは、カスタマーセンターはIT企画部、ホットライン24は損害サービス業務部が管轄していたのですが、コンタクトセンター機能強化の第1ステップとして、新設した私どもCR企画部に完全統合しました。
時期を同じくして、新コンタクトセンターのロケーション選定を行い、10以上の自治体を調査した結果、秋田市に決定しました。地方進出が前提となったのは、やはりスケールメリット、とくに通信インフラや土地・建物等のコスト削減を優先課題と考えたためです。今後は、春から建物の着工に入るとともに人材の採用活動に入り、オープン初年度となる2006年度は150名規模程度からスタートする予定です。
現存のセンターは、基本的には業務量の推移を見ながら整備していく方針ですが、災害時等のバックアップを考慮した体制とする予定です。
――秋田県に決定したポイントは。
栗沢 最も大きかったのは700席というキャパシティを満たすだけの人材と物件が確保できる、という点です。物件は、既存のテナントビルを含めてさまざまなロケーションを検討しましたが、地方特有の「自動車通勤が主流である」という特徴を踏まえたうえで、広い駐車場が確保できるような物件は他にはあまり見当たりませんでした。また、鉄道も飛行機も利用できるという東京からの交通アクセスの利便性、そして自治体のサポートが行き届いた形で得られる、ということが選定のポイントとなりました。
自治体のサポートは、助成金だけでなく、コンタクトセンター業務の認知度を高めるような市民講座や公立学校での講座を開設していることなども理由のひとつとなりました。この講座では、コンタクトセンター業務において必要なコミュニケーション・スキルだけでなく、損害保険の専門知識までもサポートしていただく方向で協議を進めています。
――新センター構築において、最も留意していることは何ですか。
栗沢 セキュリティをはじめとしたインフラの充実はもちろん、とくにスタッフ(エージェント)のアメニティ面を重視したいと考えています。ストレスフルな業務ですので、働きやすい設備はもちろんのこと、精神的な面でもサポートできる環境をつくりたいと考えています。
従業員の勤務環境を高いレベルに設定することは、雇用創出をはじめとした地域活性化にも直結するはずです。これは、CSR(企業の社会的責任)の観点からも重要なことと捉えています。
――スタッフは、自社採用を進めていくのですか。
栗沢 これまでのオペレーション業務は、ほぼすべてが業務委託という形で行っていました。これは、子会社のホットライン24でも同様で、同社が他の業務委託先から人材を確保しています。新センターの設立を機に、段階的に自社の人材も採用・育成する方針で、今現在、人事制度等の策定を進めています。
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