――アンケートから何か課題は抽出されていますか。
露木 以前は、主にエージェントの言葉遣いなど応対品質に関する指摘が多かったのですが、現在それらはほぼ解消されてきており、やはりテクニカルな内容についての回答方法の問題が目立っています。
エージェントのテクニカルスキルを向上すれば、CS向上に繋がるばかりか、マルチスキル体制を強化できます。専門チームの体制は変えませんが、例えば、ノートPCの知識もあるがネットワークも詳しいといったエージェントが増えることで人材管理が容易になり生産性向上も見込むことが出来ます。
もっとも、スキルアップは一朝一夕では不可能です。現在は、即時回答ができない問題については、いったん電話を切り、調べたうえでコールバックすることをエージェントに指導しています。
迅速さを追求したワンストップ対応も重要ですが、それ以上に正確な回答をご案内することを重視します。そのために、通話時間がやや長くなることはやむを得ないと考えています。
――では、管理指標で重視しているのはどのようなものなのですか。
露木 放棄呼率は厳しくチェックしています。呼量のピークは、年に3回新製品が出る時期になだらかな波が来る程度です。影響の大きいウイルス発生時を除けば、着信率はかなり高レベルになっています。
一方で、生産性を上げるために呼量を抑える努力も始め、問い合わせをされたお客様に「いかがですかメール」を送付しています。これは、電話での問題解決後、1〜3時間以内に頂いた質問の回答内容を掲載しているWebサイトを案内するものです。これにより、次回同じようなトラブルになったときはWebによる自己解決を促すことが出来ます。現在、送付したURLをクリックする方は約8割に達しています。
――Eメールによる問い合わせにはどのように取り組んでいますか
露木 メールサポートは現在約20数名の専任チームで取り組んでいます。基本的に24時間以内の返信を実施していますが、電話やWebに比べると、SPEEDという点についてはお客様の満足が得られるレベルではありません。今年中にメールサポートの体制自体を見直してスピードアップを図りたいと思っています。
電話、eサポート、Eメール―この中でどのサポート体制を強化するかというような、優先順位は設けません。いずれのサポートでも、対応の満足に加え、VAIOを十分に使いこなしたという満足感の提供を目指します。どのサポートを一番便利だと認識するかは、ライフスタイルや習熟度によっても変わるので、お客様の判断にお任せするつもりです。
――コンシューマ向けのサポート・プログラムの充実は著しい強化を図っておられるようですが、ビジネスユースのサポートについてはどのようにお考えですか。
露木 今のところ、ビジネスユーザー向けのソニーの営業からの問い合わせは受けていますが、エンドユーザー企業に対するダイレクトなサポートは行っていません。その背景には、ソニー自体、企業向けビジネスへの取り組みが消極的だったことがあります。
今後は、企業向けサポートも視野に入れていきたいと考えていますが、エンターテインメント機能のサポートとは異質なサポート体制を取らなければならないので、スタッフを含めた組織作りは準備段階といったところです。
(聞き手・石川 ふみ)
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