――確かにエンターテインメント系の機能訴求は、競合他社よりも積極的に見えます。それによって、顧客層に何らかの変化が生じましたか?
露木 VAIOは、もともとビジネスユースよりもコンシューマ、それもPCスキルの高い上級者ユーザー向けのブランドと見られることが多かったのですが、ここ数年で明らかに初心者ユーザーが増えてきました。初心者ユーザーだからといって、「Eメールを使いたい」とか「インターネットが見たい」といった初歩的な欲求に限らず、「昔、録画した8ミリテープをDVDに焼きたい」といった要望も多くあります。
そこで、そうしたお客様へのサポートも提供できる体制を整えました。従来、エージェントをデスクトップPC、ノートPC、アプリケーション、ネットワーク、など分野ごとに専門チームに分けていましたが、「初心者ダイアル」チームを新設しました。この初心者ダイアルは、お客様のPCサポートに対する敷居を低くする効果がありました。専門用語を知らないという理由で、電話をかけるのを躊躇していたお客様が安心して電話をかけることができる環境を作れたのは非常に有意義なことだと感じています。
――逆に、上級者ユーザーの対応に何か工夫はありますか
露木 ある程度習熟されたユーザーは、電話で聞くよりもご自分でWebを調べるほうが早いと考える人が多いようです。実際に、電話での問い合わせの数倍、Webサポートにコンタクトがあるので、その充実は重要な課題です。Webサポートは専門チームにより運営しており、サポートページの企画からソリューション作成まで全て内製で行っています。
Webサイト作成にあたり、特に重視しているのは、“探しやすさ”です。一般的なQ&A検索以外に、専門サポートページとして、「初心者コーナー」「ネットワークコーナー」「アプリケーションコーナー」を用意するなど、分類に工夫を凝らしています。各Q&Aの最後には、その品質をお聞きすると同時に、専用のアンケートページで利用目的も聞いています。
また、eサポートの満足度向上を裏付けるアンケート結果があります。各コーナーをどのような経緯で知ったのかという質問があるのですが、最近は「検索エンジン(Yahoo や Google など)を使って探した」という答えよりも、「VAIO のサポートページにきたときに知った」を選ぶ人が非常に多くなってきました。これは、われわれのサポートページを頻繁に見てくださっているお客様が多いことの表れだと思います。
もっともサポートサイトの満足度は基本的にアンケートとアクセス率で測っています。アクセス率については、ページビューも参考にしていますが、これは単純にページを増やしたり探しにくいサイトであればあるほど増える傾向があるのであまり参考になりません。当社ではユニークユーザーでアクセス率を捕らえるようにしています。ユニークユーザー数の伸びが、実際のお客様の満足度に比例していると捉えています。
初心者対応の品質は“満足度95%”
今後の課題は初心者向けテクニカルスキル
――電話サポートの顧客満足度(CS)はどのように測っていますか。
露木 お問い合わせいただいたお客様のうちからランダムにピックアップした方に、アンケートページのURLへ誘導するEメールを送っています。CS調査は毎日行い、月1回何千件にも及ぶ回答を集計して分析しています。
総合満足度は着実に向上しており、特に初心者ダイアルについてのアンケートでは95%以上の人が対応に満足したと回答しています。