中谷 今後もリージョン(広域営業圏)ごとにセンター拠点を設けて応対業務を行っていきます。リージョンごとのキャンペーンが多いですし、新サービスもリージョンごとに次から次へと出てくるので、それぞれの事情に対応する必要があり、当面は現体制の方がマネジメントしやすいと考えています。確かに、コストセンターですが、ここがないと競合に打ち勝つことはできないだけに不可欠なセクションです。とくに、販売した後のアフターフォローに関するお客様からのお問い合わせは、まずコールセンターに入り、そこからエリアごとに技術相談員を手配することになるので、解約や顧客離反を防止する上で極めて重要です。リージョンごとにセンターを設けているのも、例えば、お客様との会話のなかで地名やその地域独特の話題が出てくるのです。その際、スムーズなコミュニケーションができなければ、お客様との距離が縮まりません。このような地域密着型の体制が大手の通信事業者と一味違う当社の強みと考えています。今後の競合相手は光ファイバー通信です。とくに大手通信事業者は、通信・放送の融合のトレンドに乗って、電話、インターネットにテレビを加え、さらにモバイルを含めて地域エリアへの攻勢を強めてくるでしょう。この競合に打ち勝つためにも、インバウンドセンターの役割はますます重要になっていきます。
07年に加入全獲得数の16%へ
アウトソーシング事業も展開
――アウトバウンド戦略に話を戻しますが、中期計画ではアウトバウンドセールスでどのくらいのサービス加入者獲得を目指すのですか。
中谷 2006年は本格展開の助走期間と捉えています。体制を固めたうえで、2006年でサービス加入全獲得数の10%、翌2007年には16%をアウトバウンドセールスで達成したいと考えています。クロスセルに加えてアップセルもオンすることになるので、軌道に乗ればさらにウエイトが高まることになるでしょう。また、加入獲得推進の一方で、今後ビジネスになると思っているのは、アウトバウンド展開で培っていく当社のノウハウを同業他社にも提供するアウトソーシング事業です。テレマーケティング会社各社にノウハウがあるのは当然でしょうが、当社の実体験に基づくノウハウは同業他社にも共通する部分が多いと思われるだけに、その専門性で勝負できると考えています。同業他社との協業では既に実績を持っています。例えば、メディアッティ・コミュニケーションズとIP電話サービスの提供で提携したり、本庄ケーブルテレビにデジタル配信サービスを提供したりしています。今後、サービスだけでなく運営ノウハウも提供していくことで、ケーブルテレビ業界全体の加入促進に貢献できれば、ひいては当社にとってもメリットが大きいと考えています。
――競合激化のなかで、ケーブルテレビ業界も今後、構造変革が起きそうですね。
中谷 米国の業界が辿った道程を、まさに国内も追っている気がします。大手通信事業者やベンチャーが相まって合併連捷も起きるでしょう。このなかで当社は、インバウンドコールセンターを軸にアフターフォローを徹底することで既存のお客様のニーズを捉えて地歩を固め、アウトバウンドによる新たな営業展開によってさらなるシェアアップを目指していきます。
(聞き手・鈴木 信之)