産業依存型ビジネスでは
アップ・ダウンを繰り返す
マイライン特需が終わり、いま企業のCRMの担い手であるアウトソーサーは戦略の転換に迫られているようですが、現在の業界・市場の状況をどうみていますか。
船津 CRM、コンタクトセンターに限らずアウトソーサーへの需要は確実に伸びていくとみています。
ただし、産業の需要やマンパワーに依存してビジネスを展開していてはアップ・ダウンを繰り返すことになり、場合によっては大きな落ち込みが発生する。マイライン需要がその代表例です。ただし、通信業界全体の需要が極端に下がったか、というとそうではありません。
アウトソーサーの価値はサービスレベル・業務スキルにおいても、効率性・生産性においても、お客様企業が自ら対応するより、高いサービス、ソリューションを提供するところにあります。つまり、プロフェッショナル性が最大の価値なのです。
今後はいままで以上に高いプロフェッショナルなサービス、ソリューションが求められてきます。新たなバリューの提供といってもいいでしょう。特にCRM市場ではその要請が強くなります。コールセンターのROI(投資収益率)が話題になってきているのがいい例です。
つまり、CRMコンセプトが浸透するなかで、ヒューマンリソースだけでなく、経営効果に直接結びつく、たとえばマイニングサービスなど領域を拡大していく必要があるということですね。各社とも、いま新たなバリューの提供に苦慮しているようです。そうしたなかで、御社では“Marketing ChainManagement(マーケティング・チェーン・マネジメント)”(以下MCM)というコンセプトに基づくサービス、ソリューションを打ち出されていますが、どのようなものなのですか。
船津 当社では長く“ピープル&テクノロジー”を基本理念にビジネス戦略を立ててきました。コンタクトセンターを例にとると、インソース/アウトソースに限らず、高度なヒューマンリソースを提供するとともに、最適なITを駆使し、効率化、問題解決、業務改革のためのソリューションを提供していくという手法で事業を展開してきています。
そのために、ここ数年、米国に拠点をおき、特にインターネットを活用するCRM関連のソリューションを中心に調査、選定、必要があればジョイントベンチャーを組みソリューションの充実に努めてきたのです。
その一つの結論であり、中期事業計画の柱として打ち出したのがMCMなのです。
端的に言えば、MCMは新たなマーケティングチェーンの確立を提言していくという事業コンセプトです。
具体的には、消費者からお客様企業への生の声を収集するコンタクトセンターで顧客動向分析と効果測定を行い、インターネットセールスプロモーション、ダイレクト・インターネット・マーケティング、テレマーケティング、インターネット広告、データマイニング、マーケティングリサーチ、デジタルコンテンツプロデュース、マーケティング・システムインテグレーションなど、お客様企業と消費者をつなぐインタラクティブマーケティング・サービスを提供していきます。さらにMCMのバックヤードとなるSCM(サプライ・チェーン・マネージメント)までをカバーします。
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