カジュアルデーを採用する企業の増加もあって、紳士服市場は近年頭打ち傾向にあるといわれます。現状をどう捉えていますか。
斎藤 百貨店とメーカー直販を含めたスーツの国内需要は2001年、年間1000万着という大台を割り込んだのを機に縮小傾向に入りました。そうしたなか、「洋服の青山」(以下青山)は、もともと増収増益予想だった今3月期の業績をさらに上方修正、スーツの販売着数においても、この上期では過去最高の90万着数を記録し、トップシェアを維持しています。
市場全体が縮小するのに反して業績を拡大するうえで、御社はどのような役割を果たしたのでしょうか。
斎藤 当社は1999年の設立以来、VISA・マスターなど国際的なクレジットカード会社と提携し、青山本体の販促部と連携してカード会員ビジネスを推進してきました。なかでも「AOYAMAカード」はカード会社に業務を全面委託するのでなく、当社自ら部分的に与信リスクを負い、お客様のDBを管理・運用しています。カード会員のデータをPOSデータと統合し、特定のお客様がどの商品をいつ購入されたかというデータを逐一DBに蓄積する仕組みを確立したことで、個々の基本属性や購入履歴に見合ったキャンペーンを打てる環境を整備したのです。AOYAMAカード会員は現在約260万人。クレジット機能のないクラブカード会員数まで含めた数値は約560万人に上ります。
DM発送後2割近くに上る
AOYAMAカード会員の来店率
3年で260万人というのは、驚異的な伸びです。要因をどう捉えていますか。
斎藤 購入時に現金を必要としないというクレジットカードの特徴に加え、さまざまな特典を用意しました。例えば、購入金額100円ごとに4円のポイントを加算するという従来サービスに加え、購入時に一律5%を割引く特典を与えています。またカード会員専用のWebページを設け、そこで各自がカレンダーやアルバム機能を自由に活用し日常生活に役立つ「マイページ」を作成できる環境も整えました。Webページには最寄り店舗のキャンペーン情報が閲覧できるようになっていますが、このサービスは現在iモードをはじめとする携帯電話インターネットを活用した情報発信へと発展しています。
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