CRM市場の成長率は予想より鈍化しているといわれています。近年の業績動向はいかがですか。
島田 当社の場合、2001年度が非常に厳しい状況だったのに比べ、2002年度は夏前から数十億円規模の大型案件が増え、業績が上向きました。従来、受発注や問い合わせ受付業務の効率化など、フロントシステムの構築に終始しがちだったお客様ニーズが全社レベルに拡大。とりわけ、コールセンターのエージェントや営業マンが入力した多彩な顧客情報を、経営トップ層をはじめとする社内のあらゆる階層向けに最適化することで、企業としての“組織知”を高め、マーケティングや新商品開発、リスクマネジメントなどに活かそうという機運が高まってます。こうした傾向が金融や通信をはじめ、製造、流通などあらゆる業界に浸透してきているという実感があります。
CRM実践の目的を類型化し
BSCで効果測定する体制を整備
そうした社内横断的な仕組み作りが、今後CRMのトレンドになるのでしょうね。一方で、投資対効果を明確にしてほしいという要求も高まっているのではないですか。
島田 そうしたお客様のコスト懸念を払拭するために今後重視しなければならないのが、企画・コンサルティングからシステム構築、運用までを包括的にサポートするというスタンスです。
当社は2001年、ソリューションメニューをコールセンターやSFA、モバイルなど計9項目に分類して確立したソリューション体系、「CRM21」を昨年10月に強化し、運用にいたるまでをトータルサポートする体制を整えました。その際、もっとも力を注いだのが導入目的を類型化し、それぞれの効果を明確にする企画・コンサルの部分です。
実際にスタッフなども増強されたのですか。
島田 新たに精鋭のコンサルスタッフ20名を採用し、CRMソリューション事業部を約160人体制としました。そのうえで基盤となる導入目的を「CRM展開マップ」という形で分類し、それぞれバランスト・スコアカード(BSC)で効果を可視化する仕組みを作ったのです。
CRM展開マップは、「知識創生型」をベースに「業務効率型」「営業改革型」「顧客創造型」「リスクマネジメント型」という4つの基本型に分類。これらが相乗効果で、将来的に「事業改革型」に発展していくと考えています。
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