基本となる4項目について、少しブレークして説明してもらえますか。
島田 当社のみならずお客様やパートナー様を含め、すでにノウハウをかなり蓄積していると思われるのが、業務効率型。これはPBX/ACDやIVRを活用したコールセンター業務の効率化に始まり、最近ではマルチチャネル経由で入手した情報をコンタクトセンターで一元化するソリューションへと進化しています。また営業改革型は、いわゆるSFAですが、あえてそう呼ばないのは、お客様の要望にいかに迅速に対応しているか、モバイル活用した場合はどうかなど、特定の評価指標に基づいて営業活動を抜本的に改革しようという意図を強調するためです。
一方、顧客創造型はデータマイニングやテキストマイニングなどのBIツールを活用して、お客様動向分析やマーケティング業務の改善を図るもの。複数事業のお客様データを組み合わせ、一定の傾向値に基づいて大掛かりなクロスセルやアップセルを展開するケースなどが、これに当たります。さらにリスクマネジメント型は、同様の欠陥商品やサービスが2カ所で発生した段階でマネジメント層などに警鐘を鳴らし、お客様の信頼喪失を早急に回避する役目を果たします。これは比較的新しい分野ですが、食品業界を中心にすでに約20社での導入が進んでいます。
ソリューションを目的に合わせテンプレート化すれば、それぞれの効果も明確になりますね。基盤となる知識創生型や発展型である事業改革型はどうイメージすれば良いのでしょう。
島田 まずすべての基本となるのが、知識創生型です。文書管理的なイメージが先行した従来型ナレッジ・マネジメントと異なり、ナレッジをビビッドにアップデートしていく仕組み作りがポイントとなります。一方、発展型である事業改革型とは、端的に言えばコンタクトセンターを中心に、営業・商品企画・サポートなどの社内業務を全面的に統合し、ビジネスプロセスをドラスチックに変革していく内容。もっともプリミティブな例としてFAQがありますが、この延長線上として、特定の情報のエキスパートがどの部門の誰であるかを社内でオープンにしていく点が、最大の特徴となります。
評価指標の設定作業はこれからが本番
ツールに反映し経営判断を迅速化する
こうした分類は、御社がこれまで培ってきたソリューションノウハウに基づくものでしょうか。
島田 おっしゃる通りです。そうしたノウハウは、今後当社自身が「お客様総合センター」(仮称)を開設したり、総勢4000人に上る営業マン向けにSFAを導入する際に活かしていく予定。また、自らCRMを実践するなかで得たノウハウは、再びソリューションの現場にフィードバックしていく方針です。
ただ可視評価の基準となるBSC指標の設定については、業務効率型が整備された段階であり、これからが本番。“評価の可視化”という試み自体、CRM市場全体でみてもまだ緒についたばかりです。これで道しるべができたと、お客様からもご評価いただいており、これまであいまいだったCRMの導入目的を明確に分類できただけでも十分意義があると、現状では考えています。
|