過去の取引履歴などに基づいてサービスメニューを分けるワン・トゥ・ワンマーケティングについてはいかがですか。
佐藤 その点については、お客様ごとに専用ページを設定し、そこに向けて随時、「信用取引に新規銘柄が加わりました」や「担保金が不足がちです」といった個別情報をご提供しています。Cf-iのパーソナライゼーション機能を活用すれば、カスタマーサポートセンター側の管理画面で入力した個別情報がリアルタイムで会員画面に反映できるため、情報のメンテナンス作業は効率よく行っています。
一方アウトバウンドとしては、営業推進部主導でメールマガジンを配信しています。現在会員数は約14万人ですが、こちらはまだ口座を開設していない見込み客が中心となるため、人気銘柄ランキングをはじめ初心者向けの情報を積極的にご提供しています。
あくまで情報提供の範疇であり、ファイナンシャルプランナーなどを配備して投資相談に応じるといったサービスまでは踏み込んでいないのですね。
佐藤 そこまではカバーしていません。コンサルティングフィーは最終的には手数料に転嫁せざるを得ず、これはオンライン証券にとって致命傷となります。仮に投資相談が必要な方はコンサルティング体制が完備した証券会社などで投資戦略を伝授してもらったうえで、取り引きについては手数料が安価な当社のプラットフォームを使って頂きたいと思います。
実際、米国では相対的に手数料の高い証券会社に注文を出したファンドマネージャーを提訴する事件もありました。国内の大手証券マンのなかでもそうした事情を察知し、コンサルティングをメインにビジネスを展開しようとされる方もいます。こうしたすみ分けが今後徐々に広まっていくのではないでしょうか。
来年3月のセンター一元化で
顧客サポートの生産性向上を促す
これまで顧客サポート部門の充実をテコに業績を拡大してきたわけですが、今後口座数のさらなる拡大が見込まれるなか、サポートスタッフも一層強化していくのでしょうか。
佐藤 WebFAQによるセルフサービス体制を整備してきているため、仮に口座数が3倍の30万になったからといって、顧客サポート数を360人に増やすことはあり得ません。かといって他のオンライン証券さんのように20〜30名まで縮小するつもりもありません。現在の120名という数字には賛否両論あるでしょうが、情報の受け入れ体制としては適正だと考えています。投資対効果の問題がどうしても付いて回りますが、実際にはその時々の株式市況を見据えつつ、放棄呼など一定のサービスレベルを損なわないようオペレータを効率よく配備しており、コストは見た目よりずっと安価に抑えています。
ただ当面は会社の方針として合理化も推進します。来年3月にカスタマーサポートセンターを含めオフィスを東京・半蔵門に一元化するのを機に顧客サポート要員を100名程度に縮小することも想定しており、そうなればコスト負荷は今以上に緩和されることになります。
(聞き手・高橋 本成)
|