実際にどのように売り込んでいくのですか。
加藤 当社の電話ユーザー(東京電話)はトータルで240万回線、法人では50万回線です。このなかにはテレマーケティング企業をはじめコンタクトセンター案件や課題を抱えているお客様が数多いことは先に述べたとおりですが、この潜在需要を喚起することが第一義です。セキュリティ面は万全ながら、お客様にとっては自社システムと上手く連携できるのかということに当然ながら神経をお使いです。しかし、ある業務、ある部分については外出ししても問題ないと判断した時、一旦外出ししたら丸ごとフォローしてもらい、本来のコアコンピタンスに注力したいと思うのが常です。このニーズを的確にキャッチしたいと考えています。一方、新規ユーザーは外資系や比較的若いベンチャー企業に狙いを定めています。ベンチャーの経営者の中には、IPをキーに新たなアプローチや成功モデルを創出したいという思いの強い方も多くおられるだけに、敷居の低いASP型サービスは十分魅力的なはずです。
ASPでも採算は取れる
KM、WFMなどの機能追加で優位性確保
たしかに、ASPは利用いかんでユーザーにとってはメリットがあることは分かりますが、事業(提供側)として採算がとれるのか疑問視する声もありますが。
加藤 結局、データセンターのシステム自体にどれだけの投資というかコストがかかるかがキーになります。機能充実にはそれを供与するライセンシーと交渉が必須ですが、ユーザー数が増えるとともにライセンス料がリニアに上がっていくビジネスモデルでは継続しません。最終的には今後の需要を見込んでの話し合いになりますが、早い段階で採算のとれるユーザー数を獲得する目算はできています。いち早くご利用いただいたセゾン自動車火災保険様をはじめ数社が既に実装レベルの段階まできており、立ち上がりは好調です。一旦軌道に乗れば、ライセンシーの方々にご理解を得られやすくなりますし、また、ユーザー利用料金をよりリーズナブルな形に持っていくことも可能になります。
他のキャリアも当然、ソリューション志向を強めてくると思いますが、今後の展開をお聞かせください。
加藤 IPセントレックスの延長線としてNTTコミュニケーションズさんをはじめIPCCソリューションに目を向けていることは明らかです。従来からVCC(バーチャルコールセンター)として各社が提供してきたサービスですが、当社はIPをトリガーにして、このソリューションで先行し、とくにCRM機能を充実させて優位性を発揮していきます。今後、ナレッジマネジメント(KM)、データマイニング、ワークフォースマネジメント(WFM)など、より効率的なCRM実現に向けた機能を適宜追加し、音声系だけでなく、業務系アプリケーションの領域にさらに踏み込んでいきたいと考えています。
(聞き手・鈴木 信之)
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