センターで営業部門の業務を受託
SLAを設定し効果を保証
ここ数年で、現場の状況に則したマネジメント改革を実践してきたことがよくわかりました。しかし、これは経営陣がコンタクトセンター業務の重要性を認識しなければできない取り組みのように思えますが、その点はいかがでしょうか。
山下 当社は、担当役員だけでなく、役員全員と営業部長に関しては少なくとも月に1回、コンタクトセンターでお客様とのやり取りをモニタリングする、ということが奨励され、半ば義務化しています。そこから経営に関するヒントを得ようという狙いがある、という点ではコンタクトセンターの社内位置付けが高まっていることは間違いないでしょう。
さらに、最近ではコンタクトセンターに対する社内業務委託制度も発足し、単なるコストセンターと捉えられる傾向はなくなりつつあります。
どのような部門から業務を受託しているのですか。
山下 最も多いのは営業部門です。離反顧客の防止や休眠顧客の掘り起こしをアウトバウンド・コールで実施する機会が増えています。
受託に際しては、効果を上げるために独自のサービス・レベルをセンター側から示します。例えば、離反顧客をどの位阻止する、休眠顧客をどの程度掘り起こすか――ということを、具体的な数値で示して受託しているのです。これによって、従事するエージェントのモチベーションを向上し、達成することでコンタクトセンターが経営に寄与できる存在だと示すこともできます。
売り上げや利益貢献という観点にもセンターの業務領域を拡大している、ということですね。そのためには、センターの体制も変化せざるを得ない、と思われますが。
山下 確かに、今後は社内業務受託によるアウトバウンド業務が増えることになるでしょう。当然、その仕組みを構築するためのシステム投資は必要ですが、ローコスト・オペレーションの徹底という方針を変えるつもりはありません。
具体的には、インバウンドの問い合わせの一部を、WebやIVR機能を拡充してセルフサービス化する予定です。そこで発生した余剰人員が、アウトバウンド業務に関するスキルを身につければ、これまで通りローコスト・オペレーションが可能と考えています。
(聞き手・矢島 竜児)
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