業界でも唯一の“決済専業型銀行”として開業されて、3年が経過しつつあります。これまでの経緯を含めて、現在の経営状況を教えて下さい。
佐伯 私どもが開業した2001年、その前年の2000年には、異業種参入型の銀行が相次いで設立されました。他行(ジャパンネット銀行、ソニー銀行、アイワイバンク銀行)は、強大なバックヤード――経営母体を持ち、それを武器にネット上のフルバンキングやコンビニATMのサービスを展開していますが、当行は「お金をいかに簡便に、かつ安い手数料で動かすか」に着目した決済専業として発足し、「メルマネ」をはじめとしたさまざまなサービスを開発しました。そのコンセプトはお客様に受け入れられたと捉えています。現在は、個人口座数が約75万人、法人口座数は3500社以上に達し、預金残高も1600億円を突破しました。
異業種参入4行のサービス開始以降、他のメガバンクや地方銀行もインターネット/モバイルバンキングを積極的にPRし、競合という観点では厳しくなっていると思われます。そうしたなか、業績を伸ばしている御社の強味をどう捉えていますか。
佐伯 オークション・サイトやeビジネス系のサイトで、“ネット決済はイーバンク”という認識が定着したことです。その要因は、大きく分けて(1)インターネット・ユーザーに焦点を絞ったマーケティング、(2)サービス提供の基盤となるシステム構築、(3)経営判断を支援するコンタクトセンターの設置――の3点が奏効したと考えています。
マーケティングに関しては、Yahoo!をはじめとしたポータル・サイトなどでのプロモーションと、イーバンクの決済を活用しているネットショッピング運営企業の方々との共同キャンペーンが核となっています。オークションのユーザーは、ネット上でのお金のやり取りについて、より簡便な仕組みを要求していました。また、eビジネス企業の皆様も同様です。そのような利用シーンの存在するところにキャンペーンを投入することで、決済手法としての認知度を飛躍的に向上することができたのです。
また、システム面についてですが、銀行業務そのものが半ばシステム産業的な側面が強いと考えています。例えば、従来、マンパワーで行っていた決済の流れをATMによって簡便化したように、銀行の歴史はシステム化の歴史でもあるわけです。従って、ハード/ソフトウエアのいずれにおいても、目覚しい技術革新が進んでおり、メインフレーム中心のシステムであるメガバンク各行はこの対応が大きな経営課題となっています。当行は、後発ということもありますが最初からすべての仕組みをオープン・サーバーで組み合わせており、それだけに新しいサービス提供の仕組みを短期間・ローコストで構築できます。
このターゲットを絞り込んだマーケティング/柔軟なシステム、という2つの側面から開発したサービスが、メルマネです。
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