ネットユーザーの特質を捉えた新サービス
Eメールで送金できる“メルマネ”を提供
メルマネは、Eメールでお金のやり取りができる画期的なサービスですが、その開発経緯を教えて下さい。
佐伯 アイデアとしては当行独自のもので、国内のビジネスモデル特許も出願中ですが、先行して米国でEメール送金サービスを展開していたペイパル社の取り組みも参考にしました。同社は、1999年のサービス開始以降、利用者数は4000万口座以上に達しており、米国最大のオークション・サイト『イーベイ(eBay)』のオンライン決済機能として組み込まれています。当行は、ペイパル社に出資すると同時に独占交渉権を獲得し、相互にノウハウを提供しています。
ペイパルとメルマネのイメージは、“Eメールにお金を添付する”という感覚で扱えることです。つまり、決済とコミュニケーションを同時に行うことができます。インターネット・ユーザーは“半匿名性”を重視する傾向があり、必要以上の個人情報を明らかにすることを嫌う傾向があります。とくに、オークションのような消費者間のやり取りのときは、企業に対するよりもその傾向が強まります。メルマネならば、相手に伝わるのはEメール・アドレスと名前だけで、銀行の口座番号を明かす必要もありません。簡便な決済手法・コミュニケーション・半匿名性という3つのニーズを満たしたことが、支持を受けている最大の理由だと捉えています。
競合他社は、インターネット銀行といえども、他のメガバンク同様に各種ローンや投資信託といった金融商品を続々と投入しています。同じ領域に立とう、というお気持ちはないのですか。
佐伯 当行のスタンスは、独自に金融商品をつくる、というよりも、その商品を持っている提携企業様に決済の仕組みを提供する、というものです。例えば、GEコンシューマー・ファイナンス様と提携し、ローン商品「GE eカード」を提供しています。
商品開発という観点では、フルバンキングのような金融商品よりも、現在の決済サービスの完全モバイル対応など、インフラ面に着目したサービス提供に力を入れてきました。もちろん、メルマネもすでにモバイルに対応しています。
ネット専業の常識破り?!
目指すはEメール問い合わせ数“0件”
では、コールセンターについてその役割と業務を具体的に説明してください。
佐伯 当行は、ネット専業銀行ですので、当然ながら支店や窓口を持っていません。つまり、コールセンターは顧客との唯一のアクセスポイントです。また、電話だけでなく、EメールやWebサイト、郵送といったすべてのチャネルを総合的に捉えるために、すべての顧客対応をコールセンターを含めたCS本部で統轄しています。お客様の表現手段が声であろうと、HTMLであろうとテキスト・データであろうとコミュニケーションのレベルは同じでなくてはならないと考えているからです。具体的には、Web上のFAQはすべてコールセンターで更新作業を行っています。
ネット専業ということで、顧客からのアクセスは電話よりもEメールの方が多いのでしょうか。
佐伯 開業当初は、ほぼ同程度のアクセス・ボリュームでした。しかし、ここ数カ月は、電話とEメールの比率はおおよそ2:1となっています。これは、意図的な狙いがあって、アプローチした結果です。
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