――2004年7月のソフトバンクBBとの包括的業務提携以降、どのような動きがあったのでしょうか。
園山 大型BPO案件に取り組むにあたり、組織力をいかに強化するかに傾注してきました。特に、採用から研修に至るまで人材の育成・強化には力を入れてきました。また、従来から取り組んできた情報セキュリティについても、コンプライアンスの見直しなどを含め、さらに厳しい基準を設けました。その結果、収益力の向上はもとより、当社にとって最も重要な点は、当社の成長に賭ける意欲が社内全体で生まれたことです。ベルシステムをこう変えていこう、5年先を見据えよう、というパワーが醸成されました。
当社には、「AIDIMIQ」という良き企業文化があります。「行動主義(Action)」「起業家精神と絶えざる革新(Innovation)」「多様性の尊重(Difference)」「行動する個人を支える土壌(Independence)」「個人としてのモラル(Morale)」「人間の尊厳や価値の尊重(Integrity)」「組織としてのクオリティ(Quality)」の頭文字を取ったものですが、常に上を目指して挑戦する当社の姿勢の源泉となっています。この文化が活性化され、現場レベルでの改善への小集団活動から、新規事業の立ち上げまで行う積極性が生まれ、全社的なモチベーション向上につながりました。
――一連の御社の動きはテレマーケティング業界にも大きな波紋を投げかけたと思います。
園山 それはどうかわかりませんが、大型案件はこう獲得するんだという例示にはなったと思います。現在この市場は、コストダウンを迫られ非常に厳しい状況だと言われます。しかし、本来市場は創り出すものです。ソフトバンクBBとの提携では、500億〜600億円の市場を創り、自ら獲得しました。新しい市場を創り出し、多くのマーケットシェアを獲得するという発想がない限り、限られたパイを取り合うだけでは市場の拡大は見込めないでしょう。
――市場獲得の一方で、離れていったクライアント企業もあると聞いていますが。
園山 大きな成長を行うには、経営者としてリスクテーキングな判断が必要となる場合もあります。一部のクライアントについては、関係を一時的には断たれることも想定の上でした。決算期を2月に変更したため正確な数字ではありませんが、提携当初に発表した1100億円の売り上げはほぼ達成しています。リスクを乗り越え、大きく成長する段階に入りました。これからが“新生ベル”としての本領を発揮する“時”です。
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