――医療の世界では、ここ数年、インフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンなど、対話を重視した“医者と患者の関係”がクローズアップされる傾向が強まっています。肝心の薬の開発・提供元である製薬会社が果たすべき役割も変化が求められていると思われますか。
オヴァロ 日本の医療について、最大の問題点は海外と比較して医学教育の点で大きな遅れをとっていると感じる点です。それは、医療従事者も一般生活者も同様で、例えば薬を処方するときに、(医者から)患者さんに提供する情報が極めて少ないことにも表れています。
ところが、生活者の医療費負担が大きくなるにつれ、医療機関側はより高度な“サービス”が求められることになるでしょう。それは、何も設備だけに限ったものではなく、『患者が期待するレベルの情報を提供できるか否か』ということも含まれるはずで、今後は医療機関においても“知識をベースとしたサービス競争”が激しくなると思われます。その際、製薬会社とのパートナーシップが重要性を増すことは確実であり、(製薬会社は)顧客の属性――医療従事者や一般生活者を問わず、的確かつ迅速に情報提供できる体制が求められると考えています。
――その一方で、少なくとも一般生活者に対しては、医療用医薬品のメーカーが提供できる情報の範囲、つまりセールスやマーケティング活動については“規制”という大きな壁があると聞いていますが。
オヴァロ GSKは、これまでも旧カスタマー・ケア・センターにおいて、うつ病の患者やその家族の方々を対象に啓発活動を行うなど、DTC活動を行ってきました。この取り組みに代表されるような『医療機関と患者の結びつきを密接にする』という役割を果たすことは、現行の規制のもとでも可能だと考えています。薬の正しい使い方や適切な医療機関への案内など、一般生活者(患者)が必要なときにコンタクトすることができる体制の構築こそが、現在の医療業界における製薬会社の大きなミッションであり、カスタマー・ケア・センターはその中核となるべき存在です。
「規制があるから、やれることでもやらなくていい」という規制に守られた考え方を業界から払拭したいと思っています。医療用医薬品メーカーのコンタクトセンターは、“医療に関わるすべての人にとっての疑問の受け皿”にならなければニーズを満たすことはできないはずです。GSKは、常に市場をリードするパイオニアとして、より高度な取り組みを模索・実践していきたいと考えています。