――クレジットカードを取り巻く環境は大きく変化していると思いますが、今後の市場の成長性をどうみておられますか。
山本 リテール決済マーケットは、当面クレジットカード、キャッシング・ローンが牽引役となって拡大するとみています。まず、クレジットカードでは、電気・ガス・電話や民間の医療機関を含めた公共料金、税金・年金・公立病院などの公金決済の分野で利用価値が高まりますし、一方ではモバイル決済と融合することで伸長が見込めます。また、キャッシング・ローンについても、対象となるお客様が拡大するのではないかと考えています。雇用環境の変化や人材の流動化によって、生活水準を平準化する意味でもキャッシング・ローンを利用する層が増加し、お金を借りるという行為がごく当たり前のことになってくると思われます。
――カード業界の構造的な変化も予測されますね。
山本 クレジットカード、消費者ローン、それぞれの業態や資本の垣根が無くなり、加えてIT系企業やメーカー系企業の新規参入も盛んになっており、競争がますます激化するでしょう。しかし、消費者にとっては選択肢が広がりサービスが利用しやすくなりますし、それにより利用者のすそ野は拡大し、当面マーケットは活性化するとみています。もちろん、電子マネー/携帯電話での決済についても無視できません。現在のところ小銭決済の現金代替として成長しているため、クレジットカードそのものを脅かすほどではありませんが、相当将来性があることは確かです。むしろその機能を取り入れることによる相乗効果が考えられます。クレジットカード業界の再編をめぐっては、現段階で3大グループが形成されており、これにジェーシービーさんの帰属が一つの焦点になってくると思います。カード先進国である米国のカードマーケットシェアの推移をみても、寡占化は間違いなく進むでしょう。また、従来のカード業界の枠を超えて新興勢力がマーケットに参入してきています。
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