山本 当社は従来から、新規カード獲得とカード利用促進を目的とした提携戦略を積極的に進めてきました。2002年からは国内のクレジットビジネスでは革新的な「包括的提携」を推進しています。これは、単なる提携カードの発行にとどまらず、ノウハウ、さらに資本や人材までも提供する、他社の提携とは一線を画した戦略的な提携であり、カード発行拠点の拡大に力点を置いた従来の常識を覆したものです。ローソン、出光興産、りそなホールディングス、高島屋、みずほフィナンシャルグループといった提携先各社さんと強固なパートナーシップを構築しています。なかでも、みずほフィナンシャルグループさんとの提携は大きな意義を持っています。当社の新規会員創出力やマーケティング力、ブランド力を背景に、メガバンクの傘下に入るのではなく、あくまでパートナーとしての関係を保持したこの提携によって、今後の業界再編においても当社がイニシアチブをとることができる基盤を構築できたと考えています。その結果、出資提携先を含めた当社グループの取扱高シェアは、現在約16.7%(同社の推計値)と業界トップクラスのシェアを確保しています。今後も「スケールメリット」と「差別化」をキーファクターにしてアライアンスを推進し、長期的に業界シェア30%確保を目指しています。
――御社のカード事業の特徴は。
山本 まず強調しておきたいのは、当社はカード会社やファイナンスカンパニーを標榜しているのではなく、「サービス先端企業」を経営理念としていることです。ただし、コアのビジネスがしっかりしていて初めてお客様への充実したサービスが提供できることから、クレジットカードにおいてもNo.1を目指しているのです。当社のカード・サービスの特徴は、(1)業界に先駆けた年会費無料、(2)他社には真似のできない永久不滅ポイント制、(3)提携小売グループとの企画連動とサービス拡充、(4)「ユビキタスセンター」新設による顧客サービスNo.1の実現、(5)利用枠の顧客希望設定、に集約できます。この「五種の神器」とも言うべきサービスは全てがお客様を起点として新たに発想し、独自に開発したものです。例えば、利用の限度枠は予め決めるのが通常ですが、当社では極力お客様の意向に沿う形で与信を行っています。逆に言うと、審査に自信がある裏付けで、長年培ってきたノウハウの賜物と自負しています。
――CRMについてはどのようにお考えですか。
山本 CRMの目的を「優良顧客の創造」とその「識別と囲い込み」と認識するならば、当社のカード事業は、まさにその実践のうえに成り立っています。顧客情報のプロファイルとして当社では従来から「カスタマーキューブ」というツールを活用して優良顧客拡大に向けた顧客管理・マーケティングを行っています。カスタマーキューブとは、収益性、継続性、安全性の3軸からお客様を総合的に評価させていただくツールで、各軸の評価全てが良いお客様を当社にとっての優良顧客と定義し、各キューブ毎の特性に合わせたマーケティング戦略を立案する指標に用いています。そして、優良顧客層についてはプレミアムカードで囲い込み、エンターテイメントをはじめトラベル、メディカルヘルスケア、ファイナンスの各分野で最上のサービスを提供しています。結果として、プレミアムカードでは、それまでの「GOLDカード」をご利用いただいていた時と比べて取扱高が1.5倍に増加する効果が出ています。また、金融ニーズのある顧客層にはキャッシングサービスをはじめさまざまな融資商品を揃えていますが、本年3月には、最低金利8%、最大枠300万円の「《セゾン》カードローン」をスタートしました。その結果、新規はもちろん既存のお客様からもお申し込みを多く頂くという支持を受けております。
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カスタマーキューブの概念 |
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