――規制緩和に伴い、銀行で取り扱う金融商品・サービスが多様化するなかで、御社のコンシューマー(リテール)バンキングの基本戦略から教えてください。
横山 『好感度No.1銀行』を目指すという全社理念のもと、コンシューマーバンキング部では、お客様のニーズに合った価値ある商品・サービスを提供し、お客様と共に成長することを第1のビジョンに掲げています。私はりそなホールディングスの商品企画部長も兼務し、りそなグループで提供する商品開発を全て手がけているのですが、過去にグループ内で抱えていた投資信託や証券の関連会社を、公的資金注入による改革断行後、外へ出しました。これは、商品開発からみるとむしろ良い結果を生み出すと考えています。つまり、系列に捉われずオープン・アーキテクチャのスタンスでベストな証券、保険、投信などの商品、ベストなパートナーを選ぶことができるからです。現在、証券については野村證券さんと、保険(生保)でアリコジャパンさんと、投信はクレディ・アグリコルさんなどと、それぞれアライアンスを組んでいます。
――オープンスタンスであることが、顧客にとっても利便性を生み出すわけですね。
横山 そうです。さらに利便性を追求しお客様にとって便利な銀行になるために、コールセンター、インターネットによるダイレクトバンキング、ATMの機能も逐次拡充しています。これからの銀行は、従前のようなお客様に対して一様かつ一方的にプッシュセールスをするやり方では立ち行かなくなります。多様なチャネルを用意し、商品メニューを組み合わせてお客様に提供し、いっしょに考えていこうという営業プロセスの改革がぜひ必要です。それと、やはりコンシューマーバンキングはローコストで提供しなくてはお客様がメリットを感じず、競争にも勝てませんから、当行としても非対面チャネルのシステム改善、オペレーション改革を進めています。
――一方、対面チャネルの営業店舗は。
横山 カスタマーサービスの観点で言えば、目下、お客様が店頭で体感する待ち時間ゼロ運動を推進中です。「次世代型店舗」構築を他行に先駆けて進め、全国で300を超える既存有人店舗のうち既に100店強、2007年5月までに200店を次世代型に切り換えていく計画です。これは、従前のハイカウンター類を取り払い、行員の業務スペースを2分の1にして、その分お客様のロビーを広げ、クイックナビ、相談(有人)ブース、テレビ電話ローン相談ブース、ATMスペースといったコーナー分けをして、お客様の用途やニーズに応じた“場”を提供するものです。カウンター越しにお客様と接する、いかにも銀行然としたスタイルから、文字通りサービス業に徹した応対を目指すものです。
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