――ヨドバシカメラは、もともと白物家電よりも嗜好性の強いカメラやビデオ、オーディオなどに強いというイメージがあります。そのアドバンテージを活かすことのできる環境とは言えないでしょうか。
吉澤 当社はその成り立ちからしてカメラを中心とした映像系の商品を軸に、「生活を楽しむための趣味の世界」を充実する品揃えを重視しています。しかし、それだけに販売員の知識や提案力が問われるのです。操作や設定が複雑になりがちなデジタル家電は、“使いこなし”に対するお客様の不安が大きく、それを解消するために接客能力を高めることは、ヨドバシカメラとしての企業責任だと認識しております。
デジタル家電は、PCを中心にテレビやオーディオ、携帯電話や音楽プレイヤーなど、あらゆる機器を連携できることが売りのひとつです。従って、お客様それぞれの環境やニーズに合わせて適切な提案を行わなければ満足度を高めることはできません。各店舗には研修室を設け、初期研修だけでなく常時発売される新製品の利用法を徹底して教え込んでいます。
――価格ドットコムやメジャーなポータルサイトを“入り口”としたネット通販店舗も拡大しています。それらとの競合は脅威と映っているのですか?
吉澤 当社もヨドバシ・ドットコムというネット店舗を設けていますし、市場の活性化という点ではネット市場の盛り上がりはむしろ歓迎しています。しかし、最大の問題点は店舗が“ショールーム化”する傾向が見られることです。家電量販店で実機を見て、触って、商品説明まで受けた上で、ネットで同じ商品を検索して最安値の通販店舗で購入する消費者は少なくないと見ています。当社は、業界トップのヤマダ電機さんやコジマ電気さんと異なり、ターミナル駅前に店舗を構える「都市型立地」が特徴で集客力が強いうえに、先ほど申し上げたように専門知識に裏付けされた接客レベルは高いと自負しています。それだけにショールームとなってしまう可能性も高いのです。接客レベルの高さやポイントカードなどを通じて“ヨドバシ”というブランド力を育成することはもちろん、本社では常時ネット通販における値動きをモニタリングして対抗する措置をとっています。