当社が卸(おろし)主体のビジネスから小売りに転換した際、「お客様に何とかメリットを還元したい」という観点からポイントカード制度が発足しました。現在は家電量販店だけでなくあらゆる業界でポイントカード制度が取り入れられています。しかし、「ヨドバシが元祖」という認知も同時に広がったことで、ブランド力育成には多大な貢献が今もあると考えています。近年は、“還元率のデフレ”ともいうべき過当競争が目立っていますので、それが悩みではあるのですが、繰り返しご来店いただけるお客様確保という観点からの寄与を考えると還元ポイント数の拡大は致し方ないところです。
――業界によっては、ポイントカードの購入履歴を分析し、顧客ごとに来店のアプローチをかけるといった手法を採用している企業もありますが、御社ではどのような取り組みに活かしているのですか。
吉澤 マーケティングやセールスを目的としたお客様個別の購買履歴分析までは踏み込んでいません。集客に関しては、立地条件のよさがあるので、注力すべきは別の点かと考えています。そこで当社では、来店したお客様が高い確率で購買していただける商品構成や陳列のための分析素材として活用しています。
管理はコールセンター、スタッフは接客業
2つの長所をミックスしたマネジメント術
――ブランド価値を向上するには、顧客サポートが大きな要素を占めるといわれ、コールセンターが重要な役割を果たしている業界が増えています。しかし、家電量販店の業界では、例えばアフターサポートにコールセンターを活用するという動きはさほどないようですね。
吉澤 3年ほど前、当社もアフターサポートをメイン業務としたコールセンターを立ち上げました。各店舗に大量の問い合わせ電話が入電してしまい、販売員が本来の接客業務に集中できないという問題が生じたためです。しかし、お客様の声を聞いてみると、アフターサポートに関しては「(自分に接客してくれた)販売員と直接話したい」というニーズが高かったのです。そこで、いったんコールセンターをクローズしたうえで、再度役割を検討し直して、(1)配送状況の確認、(2)修理商品の引き取りサービス、(3)ポイントカードのカスタマーサポート、(4)ネット通販のカスタマーサポート――などを主業務としたセンターを構築、現在も運営しています。さらに、店舗スタッフ向けにポイントカードのサポート業務も同時に行っています。
――どの程度の規模やシステムで運営されているのですか。修理は、マルチベンダー対応になるので難しいと思うのですが。
吉澤 常時40〜50席で月間平均12万コールに対応しています。修理に関しては、かつての失敗を教訓に、「できることとできないことを明確に線引きする」ことを念頭に入れ、自社で引き受ける内容と、各メーカー様のサポート窓口を案内すべき内容とを切り分けています。さらに現在、サポート用電子コンテンツ(PDFファイル化したマニュアルなど)の提供を検討中です。
システムは、日本アバイアのPBXとジェネシス・ジャパンのミドルウエアを中核にした構成です。複数の業務をカバーしているのでマルチスキル・ルーティングが必須との判断から、それをジェネシスのミドルウエアが司っています。また、SAPのR/3を導入し、そこにコンタクト履歴や顧客マスタを格納すると同時に、ジェネシス製品と連携、エージェント・スキルに応じたルーティング変更もR/3上でできるようにカスタマイズしました。