200社のうち、5%が3ツ星の評価を得てますが、最も顕著なのは「カスタマーサポートがビジネスに直結している業種ほど平均の評価点が高い」ということです。具体的には、電話というチャネルがサービスの申し込み窓口として重要な役割を担っている業種――例えば消費者金融やCATVの問い合わせ窓口は、押しなべて高い評価となっています。とくにCATV各社は、地域に根ざした会社がほとんどなだけに、極めて高いホスピタリティを持って対応しているセンターが多いようです。
一方で、やはりコンタクトセンターが普及しているPCメーカーやソフトウエアベンダーなどは、企業によるバラつきが大きく、平均を他業種と比較すると決して高くありません。
山下 原因はいくつかあると考えています。ひとつは、評価対象がアフター・サポートではなくビフォー・セールスの窓口であることです。IT企業は、既存顧客に対するテクニカルサポートの品質向上には力を入れていますが、見込み顧客の発掘に非対面チャネルを活用するケースはまだ少数派のようです。
また、単なる電話問い合わせ窓口からコンタクトセンター化を進めるあまり、オペレータにマニュアル通りの対応を徹底させすぎている傾向が強いと思われます。スクリプト通りにしか会話ができず、ホスピタリティや“自信をもって自社製品をお勧めする”というアサーティブに欠ける対応が多々見られ、クオリティに関する評点が低くなってしまったようです。これはIT系だけに限った話ではないのですが、パフォーマンスよりクオリティの方が、企業ごとのバラつきが大きいという結果が出ています。業界内で先進的とされるコンタクトセンターでは、数値化しやすいパフォーマンスに関するKPIを中心にマネジメントを実践していることが、この結果からも明らかです。
ビフォー・セールスには必須!
「自社製品に心酔しているオペレータ」
――クオリティ向上に関して、格付け調査から導き出されるアドバイスをお願いします。
山下 コール対応のプロセスと、人(オペレータ)に求められるスキルを見直すべきです。エスカレーションのルールをはじめとしたワークフロー、オペレータの対応範囲といったプロセスが曖昧なまま対応しているセンターが散見されました。また、オペレータにはトーク・テクニックよりもアサーティブを重視すべきです。一部の業種で、審査員から「サポートしている製品に心酔していると思われるオペレータのトークには気持ちが揺さぶられるのものがあった」という指摘が多かったのです。とくに今回のようなビフォー・セールスの場合、こうしたオペレータを数多く確保することで売り上げや利益貢献を実現できる可能性が高いと思います。
もうひとつ加えると、同業種だけでなく異業種の結果にも目を向けていただきたいですね。コンタクトセンターの課題は共通しており、見直すべき点の抽出に役立つはずです。
――今後も、調査は継続するのですか。
山下 評価対象となった企業様から、「改善プランに活用したい」という声を戴いている以上、その検証のためにも継続すべきだと考えています。現在、対象業種と一般審査員の構造を見直す作業に入っています。また、現在は審査員にWebサイトも見てもらっていますが、評価の対象からは外しています。これを含める方法を考えて、“顧客接点”全体の課題抽出に貢献できる取り組みにしたいと思っています。