諏訪 私がかつて在職したオムロンフィールドエンジニアリングで実施したことを振り返ると、それらはまさにサービスサイエンスそのものでした。
例えば同社の場合、クレームの多くは「まだ修理に来ないのか」といった時間に関するものでしたが、それをそのまま受け止めて「1秒でも早い修理」を目標にしてしまうと単にサービススタッフの負荷を高めるだけになってしまいます。そこで、まず顧客の期待・評価のポイントを探り、それが「サービスの結果」だけでなく「サービスのプロセス」にあることが分かったので、『保守作業の見える化』に取り組みました。これにより、クレームは減り顧客の安心感・満足感を増やすことに成功しました。
当時はまだサービスサイエンスという言葉自体は知りませんでしたが、このように科学的なアプローチでサービス品質を追求したのは、目には見えないサービスの価値を顧客に理解してもらいたかったからです。
――サービスの値付けで悩むのはアウトソーサーも同じです。現在は席数や人員をベースに提供価格を設定していることが多いようですが、これは価格競争を導いたり利益なき繁忙に陥りやすいため問題視されています。サービスサイエンスの活用により改善は可能でしょうか。
諏訪 コールセンターの提供価格を席数や人員数で決めていると、サービスの生産性を高めれば高めるほど提供価格を下げなければならないことになり、生産性を上げると損をすることになってしまいます。これを、例えばコールの処理件数で決めることにすれば、生産性向上を図ることで生まれた余裕でサービス品質を上げていくことが可能になります。
アウトソーサーだけではなくインハウスのセンターにとってもサービスサイエンスは有効です。役割や目標が漫然としたなかでの顧客満足や品質の追求はなかなか大変で現場の意識統一も難しいですが、サービス品質の管理要素を明確化し数値化することで意識の共有を促す他、経営貢献度が明確になることでセンターの役割・価値を社内に強くアピールすることにもつながります。サービスサイエンスは、まさにコールセンターが抱えるさまざまな課題の解消につながる可能性を多く秘めていると思います。