そのためには、まずサービスの定義について考える必要があります。一般に経済学などでは、サービスを「構造物や製品を財と呼び、サービスとは財ではないもの」と定義していますが、私は、「人や構造物が発揮する機能で、顧客の事前期待に応えるもの」と定義したいと思っています。この定義に従えばサービスを実施するコールセンターでは、“顧客の事前期待”をベースに目標や戦略を定めることが重要だと考えています。
諏訪 事前期待には応えるべき事前期待と応えなくてもいい事前期待があり、応えるべきものは、大きく静的・動的・潜在的なものに分けられます。それぞれの事前期待を具体化してやれば、サービス品質を高めるためのアクションが明確になります。さらに工夫すれば対応品質を数値化することも可能でしょう。このため、目標や戦略が事前期待の変化に併せて変更することがあっても、それはあいまいなブレにはならず変化の推移を論理的に抑えることができるはずです。
とくに静的な期待に対する応え方は、すでに実践の中で方法論が確立されているものが多くあります。例えば、丁寧な言葉使いで素早い対応を心がけるなどは静的かつ万人に共通する期待に対する品質追求であり、多くの企業が実施していることです。一方、静的かつ個別的な期待に対する応え方は、CRMシステムを活用したワン・トゥ・ワン対応があてはまります。動的な期待、潜在的な期待については、今のところ各サービススタッフのスキルに依存している傾向があります。たまたま顧客に対してとても関心の高いスタッフが機転を利かせて顧客を満足させているというケースです。
――これまで属人的な経験則やノウハウに委ねられてきた顧客応対を体系化するのですね。応対結果の数値管理も可能ということですが。
諏訪 品質を測る指標としては「正確性」「迅速性」「安心感」「柔軟性」「好印象」「共感性」があります。この6つの指標
によりオペレータの応対品質を測定したり、CRM戦略の進捗を管理することができます。
また、(実績評価−事前期待)から顧客満足度を数値化することもできるでしょう。さきほど挙げた動的な期待や潜在的な期待に対応するには共感性が大切です。共感性により事前期待を把握し、柔軟性・迅速性を駆使して顧客の期待に応えると、“感動を呼ぶサービス”が実現できるはずです。