山ア クレジットカード産業とは、大きなシステム投資を要するとともに、さまざまな業務処理が発生することから数多くのオペレーション担当者を必要とする労働集約型産業です。従って、“規模の論理”に基づくスケールメリットが大きいことが特徴です。
OMCカードと丸井の事業基盤を統合することで、そのメリットを最大限、享受できるという判断のもと、コールセンターにおける顧客対応をはじめとしたオペレーション業務全般(回収・督促除く)を担う新会社を設立しました。
――OMCカードのコールセンターは、生産性と品質の両面から業界内で高い評価を受けていました。新会社における位置づけはどのように捉えていますか。
山ア これまでのマネジメント・ノウハウは新会社においても貴重な財産であり、営業面での大きな訴求ポイントとなります。とくに品質向上への取り組みを強化し、競合他社との差別化を図る方針です。
プロセスと品質を数値で管理し
サービスレベル反映した価格体系に
――テレマーケティング・アウトソーシング市場における大きな課題として、品質と対価が必ずしもトレードオフではなく、結局は価格競争に陥っているという現状があります。どう対処していかれる方針ですか。
山ア 1件、または1席あたりという受注方法では、いわゆる“どんぶり勘定”になりがちで結局は価格競争に勝てる会社しか生き残らないという現象を生むと考えています。クライアントの皆様に適正な対価を求めるためには、業務プロセスごとにどの程度コストがかかるのかを明示しなければならない。そこで、当社では入会申し込み手続きや審査など、カードプロセッシングの全業務フローを約600に、コールセンター業務だけでも100以上に分解し、それぞれの工程で要した作業時間や人件費を綿密に調べあげました。これにより適正なコストを算出できれば、これをベースに価格を設定できます。また、この作業には無駄なプロセスや課題の発見・改善に取り組めるという狙いもあります。
コールセンターに関しては、サービスレベルに関する指標を10以上設定しており、これによって測定した品質をもとに価格を決め、クライアント様に提示します。例えば、呼損率1%で問い合わせ対応1件につき300円の価格設定をしたとして、さらに呼損率を0.1%下げてほしいというオーダーがきた場合には1件あたりの価格を310円で交渉するといった具合に、サービスレベルに対する適正な価格設定を行う方針です。
応対品質を高めたり、コストを下げるというのは、対価をもってはじめて提供できるビジネスです。果たしてこうしたビジネスモデルがクライアント様に通用するかどうかは課題ですが、これにチャレンジすることが新会社の使命だと考えています。