金融業界の環境変化が商機――
委託需要に合わせ地方展開も視野に
――新会社の具体的な営業目標は。
山ア 新会社のビジョンとして持っているのは、「クレジットカード保有者3000万人のプラットフォーム」です。現時点で、丸井およびOMCカードの顧客会員1200万人分の情報基盤を支えています。
――クレジットカード大手は、コールセンターをはじめ、ほとんどが自社インフラを保有しています。アウトソーシングへの需要はどの程度見込まれているのでしょうか。
山ア この業界は現在、かつてないほどの変化に直面しています。とくに、大きな収益源だったグレーゾーン金利の撤廃、ICカードの普及に伴う新たなシステム投資などで、企業規模を問わずコスト構造の見直しを迫られているのが現状です。具体的には、営業業務、バックエンド処理業務、コールセンターをはじめとした顧客対応業務など、人やITに関して投資要件が増えています。それを受けて、実際に大手信販会社は地方営業拠点の集約に乗り出しました。
一方、“顧客保護”という観点から業務全体に対して金融庁の指導が厳格化しており、唯一の顧客接点ともいえるコールセンターが担う役割は大きくなりつつあります。
こうした背景から、信頼できる外部へのアウトソーシングに対するニーズは確実に拡大すると見込んでいます。当然ながら、当社の“価値”を認めていただくためのサービス品質は前提となりますので、先ほど申し上げた人材の確保と教育を軸とした品質改善への取り組みや営業活動はさらに強化する方針です。
――目標通り3000万人分の案件を獲得する際には、現在の倍以上のプラットフォームが必要になります。審査業務は一部九州でも展開されているとのことですが、顧客対応部分については、今後も菊川センターで集約した体制を継続するご予定ですか。
山ア 都内で今の倍の人数を獲得するのが難しければ、オンサイト(クライアント企業先)での運営や、地方進出も視野に入れる必要があると捉えています。今のところは、菊川センターを中心に業務を展開する予定で、現在も採用、教育に奮闘しています。
規模を維持拡大するためには、新規採用はもちろんのこと、既存人材の定着が重要になります。そのための、スタッフのモチベーション管理は欠かせません。当センターでは、社員とパートタイマーが、互いの枠組みにとらわれずコミュニケーションを深めることが、現場のモチベーションの維持・向上につながると考えています。そこで、誰もが参加できる「意見交換会」や「業務改善活動」を実施しています。そこから出てきた良い意見や改善案は、積極的に業務やサービスの改善に反映させています。これが、現場の士気向上につながり、自ずと品質向上を促します。コールセンターは“人”によって成り立つ部署ですので、今後も、こうしたキメ細やかなマネジメントを交えながら、サービス品質を追求していきたいと考えています。
(聞き手・石川 ふみ)
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