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 2007年10月号

CSはサービスの最終ゴールではない!
プロフィット・ES連環を生んでこそ
価値が出る

一橋大学大学院国際企業戦略研究科
准教授
藤川 佳則氏


製品のように目に見えず、品質を数値化するのが難しい、“サービス”をテーマにした研究分野は、近年ますます注目を集めている。「サービスマネジメント」を専門とする一橋大学大学院の藤川佳則准教授は、「CSはサービスの最終ゴールではありません。ロイヤルティ醸成やプロフィットに結びつき、加えてESとも連環して相乗的に高めていくことがサービスマネジメントの本質です」と強調する。

Profile
藤川 佳則(ふじかわ よしのり)氏
一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授

1969年 京都府生まれ
1992年   一橋大学経済学部卒業
1994年   同大学院商学研究科修士終了
2000年   ハーバード・ビジネススクールMBA取得、同大学研究助手
2003年   ペンシルバニア州立大学経営学博士取得、同大学講師
2003年   一橋大学大学院国際企業戦略研究科 専任講師に就任

――研究テーマである「サービスマネジメント」について教えてください。

藤川 サービスに関する研究分野として最初に確立されたのは、消費者心理学などをベースに顧客接点のあり方を検証する「サービスマーケティング」です。これはあくまでもマーケティングに特化した研究であり、米国では1980年代頃から研究されています。これに研究対象を組織論やプロセス管理などにも拡大し、サービスを生み出す現場レベルで何をすべきか、また、経営戦略レベルで何をサービスコンセプトとするか、を議論するのが90年代頃から研究が始まったサービスマネジメントです。その後、90年後半から2000年頃には、従来は製造業のプロセス管理や製品開発に焦点をあててきた工学の観点からサービスを研究する「サービスエンジニアリング」という研究分野が発展しました。さらにここ2、3年は、サービスマネジメントやサービスエンジニアリングを分野横断的にとらえ、そこに数学や統計学といった自然科学の要素を加えた「サービスサイエンス」という分野が醸成されつつあります。

――昨今、製造業とサービス業の境い目がなくなりつつあるようですが、製造業で長年培われてきた方法論をそのままあてはめることはできないと思います。サービスと製造はどのように異なるのでしょうか。

藤川 モノと比較したとき、サービスの特徴として、「同時性」「消滅性」「無形性」「変動性」があげられます。同時性というのは、サービスは生産と消費が同時に行われるということです。消滅性とは、サービスは作りおきができないことを示しています。そして、サービスは無形であるがため、価値の表現や品質の測定が難しい。また変動性というのは、同じサービスでもその日・その顧客の対応をしたのは誰か、顧客は何を求めたのかなどのさまざまな理由によって、価値や品質が変わるということです。

――サービスマネジメントの観点から、今、サービス業にはどのような課題があるとお考えですか。

藤川 既存のサービス業の中には、一昔前の製造業のようなやり方で、企業側が一方的にサービスを作り上げて顧客に押し付けようとする企業があります。しかし、サービスは先に申し上げた特徴からして、本来、企業と顧客が価値を“共創”すべきものです。
 にもかかわらず、これまでのサービス業は、企業側の論理のみを基準にしたサービスを展開することが多いのではないかと思います。例えば、喫茶店ではおいしいコーヒーさえ提供すればよいとされるところもありますし、写真スタジオではプロのカメラマンが正しい構図できれいに撮れば顧客は満足すると考えるところもあります。しかし、顧客の賞賛を受け成功しているサービス企業の成功事例をみると、くつろぎの場を提供することに主眼を置いたスターバックスや、子供が撮影を楽しむスタジオ作りを訴求するスタジオアリスなど、顧客が主体となって企業とサービスを共創するビジネスモデルを構築した事例が目立ちます。

――これまでの価値観は通用しなくなるということですか。

藤川 逆に、これまでの価値観にとらわれたサービス業界ほど、顧客と共創するサービスイノベーションを起こす機会に溢れていると考えられます。顧客と共創するというサービスイノベーションがおこると、顧客接点の従業員に求められるスキルも変わってきます。スターバックスの店長にはコーヒーを淹れるスキルよりも、むしろ店内を落ち着いた雰囲気にする能力が問われますし、スタジオアリスの店員にはカメラの腕というよりも、子供を楽しませる素質が重視されるでしょう。

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