松下 まず一般論から申しますと、報道されているように、現在はさまざまな要因で心の病を抱える人が激増しています。これは、何らかの対応策を打たなければ、将来的に企業は経営が立ち行かなくなる可能性すらあるということです。
とくにコールセンターは、人があって初めて成り立つ組織です。コミュニケータたちが素晴らしい仕事をすれば、お客様やクライアント企業からの評価が高まり、ビジネスの拡大につながります。一方で彼/彼女たちは、数値目標や人間関係など、ストレスに晒されることもあります。これを放置すれば離職やバーンアウト症候群などを引き起こし、結果として品質の悪化やコスト増につながりかねません。コールセンターは、メンタルヘルスを意識する必要がある組織なのです。当社としても、コミュニケータに気持ちよく働き続けていただくためには、教育制度や就業環境の充実はもちろん、全社的なメンタルヘルス対策に取り組むことが重要と考え、3年前にプロジェクトを立ち上げています。
――コールセンターは、契約社員やパートタイマーなど非正規雇用社員が多い組織です。果たして、そうしたケアにどこまで投資できるものなのですか。
松下 メンタルヘルス施策を打つ場合に多いケースは「定着率はどの程度向上するか」という議論です。しかし、離職の原因はさまざまなので、明確化できません。むしろ、定着率ありきで実施するものではなく、気持ちよく働いてもらうことで品質や生産性をあげ、結果的に定着率を上げて安定稼働につなげることが重要です。これは最終的に、CSや収益向上、コスト削減などクライアント企業のメリットにもつながると考えています。投資対効果以前の問題として、CSRの観点から当然行って然るべき施策と言えます。当社でも社長の園山をはじめ、経営陣全員がメンタルヘルス対策はコストや数値ではなく必須課題と理解しています。