ナレッジ化を促進し
期待値を超える「感動」サポートへ
――新システムにより、ナレッジ化の取り組みが一段と促進できると。
寺師 コンタクトセンターという職場には、テクニカルスキル、コミュニケーションスキルが高いスタッフが常に多くいるわけではありません。たとえ、入れ替わりしても一定の品質をキープするために、ナレッジ化は不可欠です。ただこれまでは、現場からすると入力の負荷がかかったりして、掛け声だけでなかなか進まなかった状況もありましたが、今回の可視化や一元化の仕組みによって、ナレッジ改善を本格的に実践できる体制が整いました。
――ナレッジ化の目指すところは。
寺師 一つは、有効なナレッジの拡充によって、お客様の自己解決を促すためです。ナレッジはスタッフが活用するだけでなく、お客様にもFAQとしてWebなどで公開していますが、より多くのお客様にフィットする鮮度の高い情報を的確に提供できれば、利便性が高まり、わざわざ電話で問い合わせる必要がなくなります。1世帯でパソコンを複数台所有している比率が増えていますから、たとえ1台が不調でも他のパソコンでFAQを参照できるなど、自己解決を促す下地は広がっているとも言えます。そして、公開FAQのヒット率が上がれば、コンタクトセンターの呼量抑制にもつながるわけです。もう一つ重要なのは、それでも電話をかけてきてくださるお客様に対して、より密度の濃いコミュニケーションを行う、いわば提案型のナレッジへと進化させることです。他社製品、ネットワーク機器を含めたアドバイスや有効な代替案の提示などによって、たとえ100%の回答ではなくとも、「あのセンターに電話すれば、プラスαの情報が得られる」「パソコンの用途が広がった」といった、お客様の期待値を超える「感動」のサポートの提供を目指しています。こうしたサポート体験を通して「FMVファン、富士通ファン」を拡大し、再購入者を醸成することが究極的な目標です。そのためのナレッジ化の促進であり、システム一新であるわけです。
ソリューション事業強化の目的も
CRMの観点でセンター機能を磨く
――サポート・サービスの企業業績への貢献度は数値で測りにくい部分ですが、間違いなく再購入に結びつくということですね。
寺師 今回のシステム一新は、コンタクトセンターの業務プロセス刷新と共に、実はもう1つ大きな目的があります。それは、当社の法人向けソリューション事業強化の一翼を担うことです。当社のビジネスの基本スタンスは、まず自社で使ってみて、状況を見極めた上で提供することですが、この一環で、自らが新たなコンタクトセンターの導入事例となることで、これをモデルケースにソリューション事業に結びつけることができます。さらに、当社のパソコンビジネスはサポートから商品企画→開発・設計→製造→物流という一連のサイクルを自社で全て完結しており、「お客様の声」を商品化プロセスに組み込んで製品へ反映させるノウハウも有していますから、これを加味したソリューションも提供できます。これは、コンタクトセンターモデルだけに留まりません。3年先のサポートの在り方とパソコンビジネスの相関を見据えて、お客様とのリレーションを深めるという、CRMの観点でコンタクトセンターを捉えています。電話を受けて上手くサポートすることが第一世代のCRMとすれば、第二世代はサポートを起点に次期商品や新サービスに活かすことで、ここまでは既に実現できていますが、もう一歩踏み込んで何ができるか。次世代ではコンタクトセンターというより、文字通り「CRMセンター」を目指し、その先駆けになりたいと思っています。
(聞き手・鈴木 信之)
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