佐藤 確かに株式投資だけに限れば、金融不安に加えて、個人投資家の急増によるブームが去り停滞感はあります。当社は株式取引への依存度の高いネット専業証券とは異なり、投資信託や債券などのウエイトが高い総合証券会社ですので、その強みが発揮できる環境だとポジティブに捉えています。
とくに、ここ1〜2年、認知度が向上している投資信託は、もとより得意分野だったこともあり、現在新規に口座開設されるお客さまのうち約半数は投資信託取引を目的としていただいています。最近では、インターネット上で投資信託の取り引きを行うお客さまも増えており、なかでもネット取引手数料割引銘柄は、約定(取引件数)ベースで約2/3、金額ベースで1/4がインターネットからお取り引きいただいております。
――株式と比べて複雑な投資信託商品を非対面チャネルで販売するのは難しいのでは。
佐藤 そこで、サービスメニューを2通り用意しています。インターネットやコールセンターなどの非対面チャネル限定の「らくらくダイレクト」と、支店窓口という対面チャネルを含めた「トリプルワン」です。投資信託や債券の購入を目的としているお客さまの多くはトリプルワンのご契約で、いったん支店窓口で商品に関する説明を聞いていただいたり、相談なされたうえでインターネット取引を行うケースが多いようです。
金融商品が多様化している現在、重要なのはお客さまのニーズに合わせた取引チャネルの選択肢を用意するということだと思います。当社の場合、同じネットユーザーでも、ネット専業証券会社のお客さまとは投資スタイルも商品も異なります。実際に、その時々の目的や商品に合わせてチャネルを使い分けておられるお客さまが増えています。