――コールセンターでは収益貢献度を数値化することが難しいと言われていますが、具体的に取り組まれていることはありますか。
高橋 お客様から解約の申し出があった際、新メニューやお客様がお気づきでないサービスを紹介するなどして防止することに努めており、現在、解約申し出の10%強を防止できています。その後の継続期間と仮に解約になった場合の損失を掛け合わせて金額に換算し、売り上げ貢献額として経営トップに報告しています。もう1つはアップセル。割安な通話パックなどオプションとして提供しているサービスメニューを応対時に説明しているもので、これについても獲得数を月間でまとめて計上しています。さらに、コール量の少ない時間帯を利用したアウトバウンドにも力を入れています。加入時に了承をいただいているお客様に対して、有益と思われるサービスメニューのご案内や継続更新のための活動など内容はさまざまですが、セグメントごとに目標を立てて取り組んでいます。この3つが売り上げ貢献度として数字で“見せる”ことのできる活動です。
――単なるコストセンターではないという姿勢を示すことにつながっているようですね。
高橋 私はコストセンターという認識が以前とは変わってきていると考えています。もちろんコスト意識を持ち効率を追求することは必須ですが、コールセンターの貢献度を定量的に表すのは限界があります。むしろ、もしもこのセクションが無い場合のCS低下や企業が受けるダメージによって、初めて価値が分かるのだと思います。逆に、プロフィット化が叫ばれたこともありますが、この言い方も好きではありません。そもそも、プロフィットセンターという位置付けは一部の業態を除き、少なくともカスタマーサポートのコールセンターにおいては異質だと考えています。コスト、プロフィットではなく、お客様の“声”を企業資産として捉え、次の経営の糧にしていくために、企業にとってなくてはならない戦略ステーションであり、また、それを目指すということではないでしょうか。経営トップのコールセンターに対する視点もそのように変わっていくべきだし、既にそうなってきていると思います。
次世代PHSサービスの本格化で
コールセンター形態も変貌する!?
――さて、御社は来年の次世代PHSサービス提供に向けて準備を本格化する動きにありますが、カスタマーサービスで変化することはあるのですか。
高橋 次世代PHSでは、トップスピードにおいても携帯電話と互角以上に勝負できるようになります。もちろん、ブロードバンドサービスをモバイル環境で利用するシーンが増えるので、実効スピードでは先に申し上げたネットワークのつくり方の差分がクローズアップされ、当社の優位性が発揮できると信じています。カスタマーサービスにおいては、ブロードバンドの進展により法人ユースで当社のネットワークを使って新たなビジネスを展開する可能性も広がることから、現在の法人向けセンターを拡充し機能を高めていくことも考えられます。さらに、これからのPHSおよび携帯電話は、パソコンと同様にますますネットワーク端末としての性格を強めていくだけに、カスタマーサポートも1社単体ではなく、他社製品やさらには他業種・業態にまたがってカバーする必要性がますます高まっていくと感じています。コールセンターの形態も法人や個人、また一部領域では有料化の是非を含めて、これから5、6年でダイナミックに変わっていくかもしれません。