――リーマン・ショック以降、景気は冷え込んでいますが、投資家の動向はいかがですか。
猪首 不安定な経済状況が続いていますが、相場の値下がりは、必ずしも投資家にとって悪い状況というわけではありません。投資家を分類すると、企業の成長を見込んで購入する「長期保有型」と、値動きを機敏にキャッチし短期スパンで取引を行う「トレード型」の2通りに分けられます。どちらにするかは、投資に廻す資金や労力のかけ方など、個人のスタンスにより異なります。低金利の外貨を売り、高金利の通貨を買うことによって発生する金利差益(スワップ金利)を得られる長期保有型と、各国の経済指標の発表にあわせて短期的に売買し利益を積み上げていくスタイルのトレード型は、どちらも一長一短があります。当社のお客様はトレード型が主流で、とくにFX(外国為替証拠金取引)を行う個人投資家が多い傾向にあります。短期スパンでの運用スタイルは依然として高いニーズがあります。
個人向けFXで先行
他社ネット証券との差別化を図る
――ネット証券として新しい会社という印象を受けますが。
猪首 2002年に現社名になったため、社歴が浅いと思われがちですが、前身は1963年に設立した商品仲買事業の東洋商品です。その後、ダイワグループ3社(大和商品、ダイワ通商、ダイワ貿易)が1991年に合併し、ダイワフューチャーズに社名を変更しました。当時は全国に支店があり、対面接客を中心とした営業スタイルでした。そして、2002年に証券取引および外国為替取引を扱う「ひまわり証券」と、商品先物取引の「ひまわりCX」に事業を分割し、ひまわりグループを持株会社である「ひまわりホールディングス」が統括する現在の形態へ移行しました。この段階で、コスト効率化と手数料の引き下げなど顧客利便性が図れるネット専業証券に転換しました。
|