――顧客対応のポイントとして考えておられるのは何でしょうか。
猪首 マーケット情報の発信力に強みがあると自負しています。少ない投資額で大きな金額の外貨取引が可能というのがFX取引の魅力の1つです。しかし、為替レートの急変により、投資金額以上に損害を被る可能性も孕んでいます。このことからも、お客様にはハイリスク・ハイリターン商品であることを十分に認識されたうえで、資産運用を行っていただきたいと思います。刻々と変化する相場環境のなか、当社はお客様の実利に結びつくような情報を提供していますが、その際には質の高さだけではなく速報性も求められています。このため、為替マーケットに関するニュースを、Webサイトやコールセンターを通じて逐次提供しています。また、国内外の最新ニュースや各国要人の発言に加え、短期市況解説についてもメルマガで情報を配信しています。さらに、マクロ経済を語る基調講演のようなありきたりの内容ではなく、相場が逆行したときの対処の仕方やトレードに直結するテクニックなど、より実践的な投資セミナーも定期的に開催しています。そして、ライブのセミナーをインターネット上で視聴したり、分からないことをチャットで質問できるWebセミナーも実施しています。
VOC活動を推進し
全社レベルで「顧客の声」に対応
――新たな商品・サービス開発のために取り組んでいることは。
猪首 FX取引はスタートしてわずか10年の間に、ネット専業会社や外資系証券会社などの相次ぐ参入で取り扱い会社が120〜130社ほどに一気にマーケットが拡大した商品分野です。金融サービスのビジネス環境が急速に変化しているなかで、いかにお客様に魅力のある商品を提供していくか、付加価値の高いサービスを創造し続けていけるかが、証券業界で生き残るためのカギとなります。商品やサービスの改善のために、お客様の生の声や感触を得る機会は必須ですが、以前は、FX取引のパイオニアであるという自負から、お客様の声を吸い上げて商品・サービス改善につなげるという意識が希薄でした。お客様のご指摘やご要望を担当部署へ伝達しても、個別に回答や対応を行うだけでした。しかし、競争が過熱するなか、お客様からのクレームやご意見を会社全体で受け止めて、肌で感じていくことが重要であると考えました。そこで2008年11月に「CS向上委員会」を立ち上げ、コールセンターやWebサイト上の「ご意見箱」でお客様のご意見やご要望を収集し、取引環境改善に向けて全社的に取り組む組織として活動をスタートしました。
――委員会のメンバーや活動内容は。
猪首 コールセンターや企画部門を中心に、業務部門やシステム部門などさまざまな部署からスタッフを集めて運営しています。活動内容は、2週間に1度の定例委員会でご意見箱やコールセンターで集めた「お客様の声」を一覧リストにして1つずつ取り上げ協議しています。現場レベルで対処できるものはメンバーが話し合い結論を出していますが、経営判断が必要になる案件は、週に1度の常務会で役員の判断を仰いでいます。そして、対応した取り組みについては、2週間に1度の頻度で再報告も含めて20案件程度をWebサイトへアップしています。すべてのご要望にお応えできる訳ではありませんが、可能な限り対応していくことでお客様の支持を獲得し、さらなる成長を目指して、全社一丸となって改善活動に取り組む所存です。
(聞き手・矢島めぐみ)
|