――松山センターにおける問い合わせの傾向やサービスレベルなどの品質基準について教えてください。
中原 問い合わせの内訳は、ユーザー様からが約60%、パートナー様からは40%といったところです。アクセスチャネルはEメール経由が70%近くを占めます。電話のシステムはCTIもまだ導入していない状況で発展途上ですが、Eメール対応は自社製品である「サイボウズ メールワイズ」を導入・活用して効率化を図っています。
品質評価については、テクニカルサポートとして最も重視しているのが“期日内回答率”で、これは「2営業日以内100%」が目安です。現在は、ほぼ100%達成できています。さらに、“お客様から感謝や感動の声をいただいた比率”を測定しています。これはスタッフのモチベーション向上にも貢献しているようです。もちろん、電話対応における呼損率をはじめとした一般的なコールセンターで採用されているKPIもモニタリングしています。
重視する「フィードバック文化」の醸成
ユーザーの環境を全社で把握する
――エンドユーザーやパートナーを問わず、顧客対応におけるポリシーやルールについて詳しく聞かせてください。
中原 重視しているのは、「フィードバック文化の醸成」です。問い合わせやクレームのなかには、コールセンターだけで解決できない案件もあります。そこで、営業やSE部隊へのエスカレーション・ルールを決めることはもちろん、イントラネットを活用して社員全員がお客様の声や要望をシェアする仕組みを構築しています。また、FAQは東京/松山の両拠点が共同で作成・更新して社内外に公開しています。毎日数ページずつ修正されていますので、常に最新情報をフィードバックできています。
自社で活用しているサイボウズガルーン(グループウェア)のトップには、日々、お客様のご意見――クレームだけでなくお褒めの言葉まで――がアップロードされています。こうした取り組みは、お客様1社1社の業務内容の理解にもつながり、営業面における最大の課題である“活用促進”に向けた提案能力向上に貢献できると考えています。加えて、年に1回、EメールによるCS調査を実施、サポート部門の対応レベルについてもお聞きして弱点の補完に活かしています。これもWebサイトで一部公開しています。
――つまり、カスタマー本部を中心としたVOC(Voice of Customer:顧客の声)活動の推進ですね。
中原 カスタマーサポート部門とは、ともすれば“守りの部隊”と捉えられがちですが、お客様の声や置かれている状況をより的確に把握して、それを営業やマーケティング、製品開発にフィードバックすることによって“攻めの機能”を持たせることができます。これが、全社的に投資対象として認知されるための重要な要素と考えています。
フィードバックを目的とした情報拠点(コールセンターやWeb、イントラネット)を強化することは、カスタマーに対する提案能力を全社的に磨き上げる原動力となります。当社のようなベンチャー企業は、どうしても人的リソースに限界がありますので、カスタマー本部では常に現場志向を貫く姿勢を示すことによって、コールセンターのオペレータからSEまで“全員営業”を志向する潮流を作ることを目標としています。
(聞き手:矢島 竜児)
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