会員化したあとの関係を維持・強化するための施策についてはいかがですか。
福井 当社は月2回程度のご利用を習慣化している約1割の会員をロイヤルカスタマーと定義付けしていますが、こうした優良顧客との関係強化を最も重要視しています。例えば、当サイトでは全会員一律に週1回新商品やお買い得情報を盛り込んだメールマガジンを配信していますが、ロイヤルカスタマーに対しては、商品の配送料無料化や割引券の送付、あるいは誕生月には別途プレゼントを提供するといった付加価値情報をメールに盛り込むなどの優遇策をとっています。
確かに優良会員との関係維持は必要ですが、収益を拡大するうえで、リピート率の低い会員を優良会員化するノウハウの蓄積も重要だと思うのですが。
福井 その点では、お米やミネラルウォーターといった生活必需品をいかに購入していただくかに腐心します。そうした必需品はお客様がいずれかの店舗で定期的に購入されているわけですから、その購入先を当サイトに変更していただければ、あとは自ずとリピート会員化していくというわけです。
購入先を店舗からサイトに変更させるための具体策は。
福井 クロスセル・アップセル提案を本格化します。例えば、直近の週でお中元などの季節要因を除いた受注件数の統計をとったところ、全体の3%程度が紙おむつ、ビール、お米をセットで購入していることが分かりました。この3商品は当サイトで上位の組み合わせパターンとして定着しています。ただ、購買履歴データの利用だけでは限界があるため、今後は会員が購入前に閲覧している商品ページの履歴データも活用し、商品組み合わせのバリエーションを広げていきたい。そのために、クリックストリーム(経路)分析に強みをもつWeb解析ツール(AIPブリッジの「RTmetrics」)を活用しています。
優先すべきはセルフサービス機能の強化
“自然文検索”効果でコール数を1割削減
リピート率を向上させるには、会員からの要望・問い合わせを受け付けるカスタマーセンターの品質向上も重要なポイントになりますね。
福井 その点については、会員サポートをアウトソーサー(ベルシステム24)に委託し、電話とEメール併せて問い合わせを受け付ける体制を敷いています。Webシステムと会員DBを一元化しているため、オペレータは、電話を受けた会員の過去の購買履歴などを瞬時に画面上に呼び出すことで、応答を効率化しています。
しかし、サイト上でCS低下を招かないために優先すべきは、セルフサービス機能の強化です。この点では、サービス開始当初からキーワード検索をベースにしたFAQシステムの充実を図ってきましたが、昨年新たに自然文に対応したのを機に(アスクジーブスの「ジーブスソリューション」)、カスタマーセンターへの問い合わせ件数を1割近く削減できました。FAQはカスタマーセンターのオペレータが登録業務を担っており、約30件/月のペースで更新されています。
ところで、40万に上る会員DBのメンテナンスについてはどう対処しているのでしょうか。個別のアドレス管理を徹底しないと、誤ってスパムメールを送ってしまうことにもなりかねません。
福井 メールマガジンの配信数が増加すれば、エラー配信率も自ずと高まります。現在その比率は全体の約1%ですが、現状ではエラー扱いで返信されたアドレスを逐一削除する作業をルーチン化するにとどめています。今後改善すべきはオプトアウト(配信停止)するユーザーインタフェースの簡素化です。現在は、その都度専用画面へのログインが必要になるなど多少煩雑のため、アドレスを変更してもそのまま放置している会員が多いと考えられますから。
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